モンハンブログ 週末の笛吹き

主にMH3GとMH4、MH4Gそしてモンスターハンタークロスのプレイ日記を書いていきたいと思います。現在は「ロキ」という名前でオンラインに出没中。モンハン以外の事を書くブログ「ロキの試験的駄文」も始めました。

モンハン小説未来編 第六話 前編「ウルズ、酒を飲む」(3/3) 

さて、酔っ払い始めたウルズの話です。

いつの間にやら、ウルズ自身と対話するウルズ。「ワタシ」がちょっと出てきました。
酔っ払った「私」に常識的な事を諭しているようで、実のところ……。

二重人格と言うほど独立した存在ではないけれど、「私」はその存在を認識していません。
酔っ払った時くらいにしか出てきませんが、多分、クソヤロウを記憶から切り離すための精神の動きみたいなものなのかな?
……いや、書いていたらいつの間にか出てきていたので、書き手の自分でもよくわからないのです……。

まあそれはそれとして。

「泥芋酒」はモンハンの食材メニューに実際にありますが、どういう酒なのかは不明。
何となく、芋由来のどぶろくと言うより、蒸留酒のイメージ。

クセもアルコール度数も強い酒、というつもりで書いています。

フェ氏が注文しているのは、泥芋酒と狩人ビールのチャンポンである「バクダンカクテル」。

この店の直接のモデルは「深夜食堂」。
殺伐とした「めしや」。
そこに、「ホルモン テっちゃん チエちゃん」とか、そんな感じが混ざっているような。

ウルズはまだ若くて、その分やや潔癖な部分があり、しかも人嫌い。
他の食堂は高いため行けず、かつ絡んでくる酔っ払いを店主が追い払ってくれるため、この店には来ていましたが。

しかし、店の常連たちには常連たちの付き合いがあり、馴染んでしまえばそれなりに面白みのある社会ではあるのではないかと思います。

……
…………

さて、次からはやっと後半。
「東京タラレバ娘」ではなく、「のみじょし」のような……と言うより更に(オッサンの妄想全開な)キャッキャウフフ展開を書ければいいなぁと思っています。




011.ウルズ、酔いが回る
 
 その時、フェ氏が唸った。
 まともに発音ができないようなのだが、かろうじてバクダンがどうとか聞こえた。

 店主は泥芋酒と、別に置いてあった狩人ビールの瓶を持ち出してそちらに行った。

 私は独り、杯を傾けた。

 風味が独特すぎるが、慣れれば美味しいのかもしれない。
 今度、自分で何本か購入して、飲み比べてみようか。

 ついにスープと肉と砂肝がなくなり、私はちびちびと泥芋酒をすすった。
 
 経験したことのない感覚が、足元から忍び寄ってきた。

 これが酔いか。

 酒を飲めばどの様になるかは、解っていたつもりだ。
 酔っぱらいは何人も見た。ハンター業と酒は切っても切り離せない部分がある。

 だが、体験するのは初めてだった。

 足元から来る違和感がだんだん強くなる。痺れとも脱力とも違う、自由に動かせない感覚。

 耳が熱くなってきた。
 頬が火照り始めた。

 血流が、いつもよりも激しく全身を巡るのが感じられた。

 そして。

 意識が、考えが、段々とまとまらなくなってきた。
 酔っ払いとは、なるほど皆こうなって、感情を抑えきれなくなり、醜態を晒すのか。

 私は、そうなるつもりはない。
 たとえ酔っ払って、精神の枷が外れたとしても。
 それを外に出すつもりは、全くない。

 私は更に杯を傾ける。
 ケルビの角の酒器は、段々と軽くなっていく。

 普段、考える事の無い。
 思い出したくもないようなことが、脳内に流れ出てきた。
 まるで、心のなかにある嫌なもの、見たくないものを閉じ込めた箱の蓋が緩んで、そこから黒く重い煙が湧き出し始めたような。

 黒い思考が私の心を支配していく。

 それは別にいい。自分が自分の中で向き合えばいい。

 外にさえ出さなければいいだけの話だ。

 杯を傾ける。

 喉が焼ける。

 ケルビの角の酒器に、もう酒は半分も入っていない。



012.殺意
 
 それは記憶だった。
 
 私がまだ生まれて間もない頃の記憶。
 覚えている筈のない記憶。

 年の離れた、とは言ってもまだ幼かった姉の手で、私は堆肥場に隠された。
 姉がいた、という事すら知らなかったが、記憶の中の姉は、青い毛並みに金の光をまとったモンスターに引き裂かれた。
 私の目の前で。
 ああそうだ。あの時、私はモンスターと目が合った。
 口から姉の血を滴らせたそいつは、堆肥場のクソに塗れた私を餌とすら思わず、去っていった。

 憎い。

 小さく、ハンターを雇う余裕すらなかった村は、私を除いて絶滅し、そのせいで近くの村に住んでいた伯母に引き取られた。
 村長の命令で、私を引き取らざるを得なかった、底意地の悪い伯母からの仕打ち。
 そうだ、あの頃の私は、伯母からも、従兄弟たちからも名前で呼ばれることはなかった。
 ただ、糞かぶりと呼ばれていた。

 殺す。

 そしてその伯母から私を買った、あのクソヤロウ。
 思い出すだけでストレスになるので、努めて忘れようとし、ついに顔も名前も思い出せなくなるよう、自分の中から追放したはずなのに。

 なぜ、今。
 
 その顔が名前が、ヤツに蹂躙された日々が、断片的とは言え、鮮明に脳裏をよぎっているのだ。

 殺したい。殺してやりたい。

 私は。
 
 嗤われながら寄生を続け、ある程度の金は得た。
 その時点で、ハンターをやめるという選択肢も取り得たはずだ。

 なぜ、そうしなかったのか。

 おそらくは、殺してやりたかったのだ。

 モンスターを。
 人間を。
 ハンターを。
 すべてを。
 自分をも。

 少しだけ、冷静さが戻る。

 私は今でも、あの伯母の住む村周辺のモンスター出没情報に目を通している。
 あの村に、なにか強いモンスターが現れたときには、私がクエストを受けるつもりだ。
 ギルドに相手にされなくても、そのモンスターのもとに赴くのだ。

 そしてそのモンスターに傷を負わせて、その牙に喰らわれる。
 私をかばって死んだ、名さえも知らぬ姉のように。

 手負いとなり、人の血の味を知ったそのモンスターは、そのまま手近にあるその村を襲うだろう。

 杯を傾ける。

 箱の蓋がまた少しズレる。

 中から流れ出る黒い霧が濃さを増す。

 まどろっこしい。
 そんな手間をかけず、私が剣を持って、あの村へ行けばいいのだ。
 今の私であれば、伯母の、従兄弟の、私への仕打ちを見て見ぬふりをしていた村人たちの。

 首など。

 簡単に刈れるではないか。



013.嫉妬

 だが、そういえば最近、出没情報はただの習慣として見ているに過ぎなくなっている気がする。

 なぜだろう。

 死にたくなくなった? まあ、多分そうだ。

 なんで? 別に死んだって、うん、別に死んだっていいって、お前は思っていたじゃないか。

 フレイアと知り合ったから?

 そうだ。それだ。

 私を知る者が出来たからだ。

 そう。

 私には与えられなかった、ほとんどすべてのモノを持っている、あいつに出会ったからだ。

 妬ましい。ああ、妬ましい。

 親も、帰る場所も、師匠も、相棒も、先生も。

 金も、実力も、美貌も。

 すべて持っているアイツが。

 心の底から妬ましい。 
 
 美味しいものを口にしても、ゆっくりと味わいもせずに、食べ尽くして何も思わないようなアイツが。

 生きるためではなく、ただ好奇心を満たすという目的で私なんかとフレンド登録をし。
 
 クエストに行けば報酬の半分をこちらに寄越し。

 私の狩猟スタイルにダメ出しをし、自分を見て基礎を学べと言った。

 装備を作るよう言った。

 当たり前のように、一緒に上位ハンターになるのだと言った。 

 私では絶対に持ち得ない、その余裕が。

 心の底から。

 私は妬ましいのだ。

 なに? 一旦、店主を呼んで水をもらえ?

 うるさい。

 うるさいうるさい。

 杯を傾ける。

 ケルビの角の酒器に、もう酒は少ししか残っていない。



014.私の目的は

 感謝?

 そりゃ、してるさ。

 それこそ、私が集会場のアイルー屋台でクレープを頬張れるようになったのなんて、彼女が居たからだ。いや、アイツが居たからだ。

 素直になれ?

 私は素直だよ。

 少なくとも、自分の内面は素直だ。荒れ狂う負の感情にはかなり素直に従っている。嫉妬を始めとした負の感情は、私にとっては行動の原動力だ。

 ただ、それを外には出さないようにしているだけだ。

 杯を傾ける。

 美味しいとか美味しくないとかではない。

 つまりこれが酒なのであって、これが酔いなのだ。

 フレイアへの嫉妬なんて、あって当たり前じゃないか。最初に彼女と会ったとき……いや、アイツと会ったとき、私はどういう感情を持った? まず嫉妬、そして嫌悪だ。

 嫌悪感? そうだな、言われてみれば。

 それは。

 もう、無い。

 いや、それよりも、お前は誰だよ。

 私? はッ! 私は私に説教されてるのか?

 どうでもよくは……いや、どうでもいいか。

 そうだな。
 
 確かに、嫌悪はもう無い。

 食べ方とか、意外とアホなところとか、自分勝手なところとか。

 そういう枝葉末節な部分で、イラっとはするさ。

 でも、最初に持っていた、嫌悪とは違う。

 そうだった。そもそもフレンド申請書は、私の方から書いたんだった。

 私はなんで、アイツに……フレイアにフレンド申請書なんて書いたんだろう。

 私だったら、こんな寄生ハンターとフレンド登録を結ぶなんて絶対にゴメンだし、そういう扱いを受けて当たり前だと思って、でも、その上で書いたんだった。

 対等?

 ああ、そうだった。

 あの時……フレンド申請書を書いた時、わかっていたけど、あの時の私は認めなかったことだったな。

 そうだった。

 思い出したよ。

 私は、私の持っていないものをすべて持っているフレイアと、対等に話したい。

 そう思って、あのフレンド申請書を書いたんだった。



015.そして私は上位を目指す

 かつて、アイツ……フレイアへの嫌悪を引き起こしたこの嫉妬心は、そう、劣等感から来ているのだろう。

 ならば、自分にとって、自分にとって。

 生まれや育ちはどうしようもないさ。そりゃ。

 でも、この劣等感を拭うところから始めるしか無いじゃないか。

 解っている。

 一番の近道は、正攻法で、その方策だ。

 上位を目指すんだ。

 考えがまとまらない。

 酔いが覚めた時、酔っ払っている間に何を考えていたのか、それがどうなるのか、わからないけど。
 私は、忘れたくない。これは忘れたくない。

 私が、フレイアと対等に話せるようになるための。

 その一番の方策。

 それは、上位を目指すことだ。

 もちろん、実際に上位になれるかどうかはわからない。思いだけで上位ハンターになれるんだったら、ハハハ。

 だが、せめて。

 自分で納得行くまで、そこを目指そう。

 自分で自分の、その努力を認めてやれるところまでやろう。

 それでいいんだろ?

 ……あれ? どこ行った? ……まあいいや。

 行けるところまで行く。そうすれば、劣等感は拭えると思う。

 まして。

 本当に……もしも本当に上位にまで昇格したら。

 今までは、ただフレイアに誘われたから、とか。

 あの伯母たちのような人間像から少しでも離れたいから、とか。

 漠然とした理由で、上位ハンターを目指していた。いや、あるいは話を合わせていただけだったのかも。

 でも。

 私は、フレイアと対等に話せるようになるため、上位を目指す。本気で目指す。

 自分でもわかりやすい目標だ。

 重要な目標だ。

 今日は、色々あった。

 酒の怖さも知った。

 でも。

 最後にこの結論にたどり着けるのであれば、酒も割といいものなのかもしれない。

 杯を傾ける。

 意識が暗転した。



016.だからワタシは上位を目指す

「私」は眠った。

「ワタシ」は思った。

 コロス。

 あの糞野郎だけは絶対に許さない。

 コロス。

 いつか必ず、あの喉首を掻っ切る。

 ハラワタに錆びたナイフを突き立てる。

 苦しませて、苦しませて。

 ハラワタを手で引っ張り出して。

 美味しく煮込んで。

 苦しむヤツの口に突っ込んでやる。

 あの時。
 
 あの糞がまだ本性を表す前。

「私」が作ったハチミツ菓子を一緒に食べたときのように。

 アイツのハラワタを、一緒に喰らう。

 苦しませながら。

 長い時間をかけて。

 コロス。

 絶対にコロス。

 だが。

 やつは精神的には糞だが。

 そびえ立つ糞の山のようなやつだが。

 それでも上位ハンターだ。

 今のワタシでは歯が立たない。

 だからワタシは上位を目指す。

 あの糞野郎の首を。

 実力で掻っ切れるだけのハンターに。

 なるのだ。

 ワタシは。

 私は。

 上位ハンターになるのだ。



017.酒の力
 
 目を覚ますと、そこはカウンターだった。
 突っ伏して眠っていた。

 ふと見ると、すでに仕舞い支度を終えた店主が、カウンターの中で本を読んでいた。
「……アレ?」
「おう、起きたか」
「……私……」
「流石にそろそろ起こそうかと思っていた。もう、夜明け近くだ」
「……すみません」
「いや、いい。お前の独り言は興味を……いや、それはどうでもいい。ともあれお前は、もう少し飲み方を覚えなければ駄目だ。それはハンターとして必要になってくるはずだ」
 頭がガンガンする。それ以上に、胃がムカムカし、吐き気が酷い。
 嫌な汗が吹き出る。
「まあ、また来い。今度は別の酒を……む。いかんな、ちょっとトイレへ行け。吐いて来い。それで大分、楽になるはずだ」

 店主に促され、私はふらつく足で立ち上がるとトイレに駆け込んだ。

 便器の上に顔を出し、それまでかろうじて制御していたナニかを本能的に解除する。

 口からゲロが吹き出た。

 一頻り、大量の嘔吐をし。
 それでも吐き出し足りない感じがして、今度は人差し指と中指を口に突っ込む。

 もう一度。
 ゲロが吹き出た。

 一回目であれだけ噴射したのに。
 せっかく食べた、あの命が溶け出たようなスープのほとんどを、私は吐き出してしまっていた。

 えづきながら、何故か私は随分と冷静に、飲んでいた時のことを思い出していた。

 自分でも、あれほど深い嫉妬の念を、フレイアに持っていたというのは、意外だったし、ショックでもあった。
 いや、冷静になれば意外でもなんでもないか。
 とにかく私は、やはりネガティブな感情に支配されている人間なのだと、思い知った。

 だが、もう一つの記憶。それは希望にもなった。

 初めてあった時、フレイアに対して持っていた嫌悪の念は、今は無い。
 感謝もしている。

 嫉妬するのも、感謝するのも、同じ自分の感情だし、それは同居できる。同じように、等しく私の中に存在している。
 
 そして何より、自分の最大の願いが「フレイアと対等に話すこと」である事を確認できたのは良かった。
 これは、嫉妬や劣等感を認めないと、なかなか認識しづらかったことの様にも思える。

 それら全ての感情を引き出したのは、やはり酒の力だろう。

 酒の持つ、精神の抑圧を解き放つ効果は、決して悪いことばかりではないらしい。

 店主もああ言ってくれていることだし、また来て飲んでみようとは思う。

 さすがに、自分なりの飲み方を覚えなければ行けないと、それはそう思うが。

 もう吐くものも無くなったのに、まだ私はトイレの上で、喉に手を突っ込んでいた。

 酸っぱい胃液が少し逆流した。



018.ふと思うこと

 吐くだけ吐いて。
 店主に貰った水をガブ飲みして。

 少しだけ休ませてもらって。

 やっと私は帰路についた。

 薄っすらと明るくなり始めた空の下、冷たく澄んだ空気を吸い込みながら、私は思った。

 正直、何を考えているのかよくわからない所のあるフレイアだが、あの人、酔っ払ったらどうなるんだろう?

 私は興味が湧いた。
 ん? フレイアのようだって? いいや、あんな病的な好奇心じゃない。
 ただ、ちょっと確かめてみたいと思っただけだ。

 とりあえず、明日は休みだ。
 予備として取った2日目の休みだったが、結果としては大正解だ。
 丸一日くらい眠らないと、この酔いは醒めないのではないだろうか? 初めての経験なので分からないが。

 今度、フレイアとロキを、お酒に誘ってみよう。
 さすがにモツ屋には連れていけないが、あの二人ならば、もっと普通の酒屋くらい、知っていそうな気がする。

 ……慣れていないが、ちょっと甘えてみようか。
 意外と簡単に、連れて行ってもらえるかもしれない。

 そんな事を考えながら、私は引っ越したばかりの安宿へ、よろめきながら帰って行った。
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category: モンハン小説

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