モンハンブログ 週末の笛吹き

主にMH3GとMH4、MH4Gそしてモンスターハンタークロスのプレイ日記を書いていきたいと思います。現在は「ロキ」という名前でオンラインに出没中。モンハン以外の事を書くブログ「ロキの試験的駄文」も始めました。

モンハン小説『週末の笛吹き』 第六話 その4 ブラックナイトの最後  

今までほとんどまともに使っていなかったTwitter。
ここへ来て初めてリツイートの意味と使い方を知りました。

それはともかく。

先週は鈍器祭りの準備や、チャットに溺れて時間を使ったこともあり、手付かずになっていたモンハン小説。
第六話その4をお送りします。

本来ならば、ヘイムダルさんでは撃退できれば御の字……という程度に強いはずの黒いリオレイア(ユヅキが後に宵闇の守護竜-ブラックナイト-という愛称をつける)。
しかし、相対するのがエロドナイト二人となると……。

そんな感じの第4章になります。


物欲大社へお賽銭をあげる ミ⑤





01.

 卵泥棒フェンリルを追ってきた黒いリオレイアは、生まれつき卵を孕むことが出来ない体質だった。
 彼女のような個体は、リオス種の大きな生息域の中に一匹いるかいないか、その程度に珍しい。

 リオス種の飛竜は基本的に単独行動を取り、繁殖期や子育ての頃にのみ番いを作って産卵と子育てをする。

 だが彼女のような個体は、その体質のため、番いを探すための求愛行動をしない。子育てにエネルギーを使うこともない。生態そのものが通常のリオレイアとは大きく異なる。
 ただし、卵そのものには他の同種以上に愛着があり、同じ生息域に棲む他の個体の卵を、本能的に、偏執的に、守護するような行動を取る。

 リオレイアにとって、卵を生むという行為は身体に大きな負担をかける。
 だが彼女は命を繋いでいくという重要な仕事から開放されているが故に、摂る栄養の全てを自らを養うために使うことが出来る。そのため身体は大きく強靭になり、どのような理由でか鱗も黒みが強くなる。
 翼も巨大化し行動範囲は広がり、ブレスを吐くための内臓器官「火炎袋」も他の同種に比べると大きい。

 その能力をもって、卵を盗みに来る鳥竜種や他のモンスターを決して許すこと無く排除する。
 群れることのないリオス種だが、彼女は同種を守護するような動きをするのである。

 黒いリオレイアは思う。
 彼女は人間のような言葉を操るわけではないが、ただ本能と反射のみで動くような無知性の生き物ではない。明確な意思をもって思考する。

 ワタシは、生息地の群れの中で金色の卵を見つけた。
 今まで見たこともないその卵の美しさに魅了され、それに執着した。
 その卵の母であるリオレイアを刺激しないよう遠くから、常に見つめ続けていた。
 
 ある時、その卵は小さな、しかし狡猾な生き物に狙われた。
 卵を守護すべき母は、その生き物によって傷つけられ、拘束された。
 翼すら持たないその卵泥棒は、事もあろうにその金の卵を盗み出していった。

 卵泥棒は手慣れており、簡単に我々の生息域から抜け出していった。
 卵の母や、父であるリオレウスはそれを追いかけることは出来ない。彼らには次の世代の子供を産むという大切な仕事がある。縄張りから出ていくという危険を犯すことは、本能的に出来ないのだ。

 だから、ワタシがその卵泥棒を追った。

 以来、生息域から出てきてかなりの時間がたった。
 卵泥棒は上手く身を隠しながら逃げ続けていた。
 追跡の邪魔をするものも多かった。その殆どは、卵泥棒と同種の者たちだった。ワタシは、それらの全てを蹴散らし、退けた。そうやって金の卵を盗った許しがたい盗人を追い続けた。

 ワタシは強い。
 他のリオレイアたちに比べて身体は大きく、吐き出す火球の破壊力も段違いだ。

 卵泥棒は小回りを効かせて逃げ続けているが、相対すればワタシの敵ではない事も分かっている。

 ワタシは強い。

 だがしかし。
 本当に強いならば。
 何故、今、ワタシはこんなにも傷ついているのだろう。




02.
 
 ワタシの目の前に居るのは小さな二人の敵対者。卵泥棒と同種の相手。
 今まで何人もの同じような敵対者と対峙し、蹴散らしてきた。
 だが、目の前に居る二人は、動きの速さも攻撃力も、今まで相対した相手とは全く違っていた。

 ワタシは強靭な脚で地面を蹴って突進する。
 二人はそれぞれ左右に散ってこれをやり過ごす。しかしそれは覚悟の上。
 速度を殺さず方向を転換し、ガルルガのような仮面を付けた相手に向かい、そのまま跳ね飛びながら尻尾を振り上げる。
 
 今まで、幾多の敵を葬ってきた必殺の攻撃が、しかしまるで動きを見切られているかのように、あっさりとかわされた。

 隙を晒すと、やつらは攻勢に転じる。敵対者たちが持っているのは小さな武器だが、その攻撃力は強烈なものがある。
 特に、銀色の髪の方は動きが鋭く、武器を両手に持っているため手数も多い。
 捌き切ることは出来ない。無理やりバックジャンプしてなんとか距離を離す。

 すでに身体はボロボロになっている。
 大きな翼膜には大小の傷が付き、背中の棘もかなり折られている。尻尾も、もう何回か攻撃を受けたら切り落とされるかもしれない。

 ワタシは後ろに下がりながら、火球を吐き出す。
 ガルルガの顔をした方が余裕を持ってそれをかわし、火球はそのずっと後方で樹に当たり爆裂した。
 だが、その攻撃はフェイントでしかない。
 本命の二発目を放つ。今度こそ、直撃するタイミング。
 
 しかし、ガルルガの顔をしたそいつは、その場で回転するように動き、剣の先で火球に触れる。
 その瞬間、高密度の炎が爆散するが、それは回転によって生まれる気流で受け流されていた。

 必殺だったはずの攻撃をいなされた隙を突かれ、銀髪の方に稲妻のような動きで切り込まれる。
 だが、やつらの能力の高さは身をもって味わっていた。
 反撃は予想できた。
 この攻撃を見越していたワタシは、体内の火炎袋に溜めてある全ての力を使って、超高圧の火炎を薙ぎ払うように吐き出す。
 目の前に炎が壁となって立ちはだかる。
 この爆炎の前に立っていられる生物などいないはずだ。
 そのはずなのに。
 銀髪は前方にジャンプしながら炎を突破し、そのまま私の顔を目掛けて切りつけてきた。
 
 顔に生えていた棘が折られ、ワタシは大きくひるんだ。

 見逃してくれるはずもない。
 小さな段差を利用して飛び上がった銀髪は、今度は空中から強烈な攻撃を仕掛けてきた。



03.

 ダメージを負い、体力もなくなった。
 脚がふらつく。
 空中から攻撃をしてきた銀髪は、そのままワタシの背に生えた棘に捕まり、乗ったまま降りようとしない。
 背中を。翼を。めちゃくちゃに剣で刺される。

 激痛のあまり、ワタシはなんとしても銀髪を振り落とそうともがくが、いかんともしがたい。

 最後の力を振り絞って翼を広げ、羽ばたいた。
 追撃を画策していたガルルガの顔をした方が、その風圧で動きを止める。

 背中に乗られたのは、ワタシにとっては最大の危機である。反撃できず、ただ背中を刺されるだけなのだ。
 だが。
 卵を取り戻すまで、ワタシは負けることは許されない。

 それは、ただワタシの意思というだけではない。
 種全体の意思。あるいは、より大いなるモノに課せられた使命だ。ワタシはそう感じている。

 翼を持たない小さい敵対者は、自分の優位を信じているだろう。
 しかし、その行動が命取りだと知るがいい。

 激痛に耐えながら、ワタシはそのまま空へと飛び立った。
 上空まで行ったところで振り落としてやる。

 背中から、後ろ首にかけて斬りつけられる痛みのせいで、まともな飛行は出来ない。ただ高く、高く。振り落とした時に、銀髪が確実に死ぬほど高くまで、ワタシはもがきながら飛び続ける。

 だが、銀髪の小さく細いその身体のどこにそんな力があるのか。
 奴はワタシの背を掴んだまま攻撃を続けてきた。

 かなりの高度に達した時。
 右の翼が動かないことに気づいた。
 根本から、ほとんど斬り取られてしまっていたのだ。

 痛みで気が遠くなる。
 
 大樹林でもっとも背の高い樹をはるか眼下に見ながら、ワタシは飛行能力を失った。
 上昇を続けていた身体が、浮力を失い。
 そして落下が始まった。



04.

 気絶しているフェンリルを尻目に、ヘイムダルがテュールの左腕を診ていた。
 その間、刃が折れてしまった剣鉈の柄をカーラは拾い上げて、テュールに渡す。
 テュールの腕には散弾が食い込んでおり、まだ血を流し続けていた。
「カーラ!」
「イエス! ニャ!」
「エイルがベースキャンプ全体に伝令を回すため走っている。大至急連れてきてくれんか」
「ニャ! イエス! ニャ! 大至急エイルを探し、連れてきますニャ!」
 マスカット色の雄であるエイルは、ゴロツキだった者が多い11匹のアイルーの中では珍しく穏やかな性格で、薬草や怪我の治療法に精通している。応急手当程度ならばヘイムダルやカーラでも出来るが、早いうちに専門家であるエイルに診せるのが良いとヘイムダルは判断した。
 
 敬礼をし、駆け出そうとしたカーラが、ふとその動きを止めた。
 月明かりが何かに遮られ、影が落ちているのがその眼に映る。
 ヘイムダルもカーラの視線に気付き、空を見た。

「ソレ」が黒い巨大な飛竜であると、最初に理解したのは夜目の効くカーラだった。
 風を切る音をあげながら、どんどんと大きくなってくる影。
 それはやがて樹の枝や葉を巻き込み、絶望を感じさせる鳴き声をあげながら、次の瞬間、轟音を立てて地面に落下した。

 下敷きになった巨木が数本、幹から折れて倒れ、葉や土が巻き上がる。
 思わず顔を抑えていたヘイムダルたちが見たのは、脚が折れ、翼がもげ、血まみれになった黒いリオレイアの姿だった。

「墜ち……て来たニャ?」
 カーラが呆然としながら言う。
 黒いリオレイアの長い首が、あらぬ方向に折れ曲がっているのを見て、さしもの彼女も顔をしかめた。
 それでも黒いリオレイアは、眼の動きだけでヘイムダルたちの姿を確認すると、威嚇の声を上げ、火球を吐こうと喉を動かす。
 
 しかし、すでに生きる力を失いつつあるリオレイアの最後の攻撃は、わずかにチロチロと炎を口から漏れ出させるだけに終わった。

 絶句しているヘイムダルたちの眼の前で、無傷のヘルがリオレイアの背中から飛び降りる。
 美しい銀髪をかき上げると、傍若無人を絵に描いたような態度で、リオレイアやヘイムダルたちを尻目に気絶しているフェンリルに近づいた。

 汚らしいものを見るような眼でフェンリルの状態をざっと確認すると、今度はヘイムダルに笑顔を向け、彼女は密猟者捕縛の礼を言った。

「密猟者フェンリル捕獲の協力に感謝する。……まあ、本来ならば自分がここで殺してしまう方が面倒は少ないのだが、これだけ目撃者がいては、ギルド法に則って捕縛するしかあるまいな」

 死と混乱が支配する空気の中で、ヘルは場違いにも程があるまでの存在感を放っていた。



05.

 完全に予想外だった事態にヘイムダルが珍しく狼狽していると、今度はガルルガがヘルに駆け寄ってきた。
 空を飛ぶリオレイアを追ってきたのだろうが、その移動速度には目を見張るものがある。

 ガルルガの胸には、金色の卵が抱かれていた。

 息も絶え絶えだった黒いリオレイアが、月明かりを反射して鈍く輝くその卵に反応し、折れた首を僅かに持ち上げた。
 その視界は赤く滲み、ぼやけ始めている。
 彼女が見守る中で、金の卵は内側から割れ始めた。

 中から出てきたのは金色の鱗を持つリオレイアの雛。

 金のリオレイアは、生まれたばかりとは思えないほどの力強さを見せてガルルガの手から逃げ出すと、キョロキョロと辺りを見回した。
 そして、黒いリオレイアを見つけると、翼を広げてそちらに歩き出した。

 月明かりの下で堂々と、威厳すら感じさせる優雅な動きだった。

 その後ろにヘルが静かに立つ。

 彼女はギルドナイトセーバーを一閃させ、金色のレイアの首を斬り落とした。
 
 なんのためらいも迷いも見えぬ淀みないその一撃は、おそらくは斬られたレイアに痛みすら感じさせなかったのではないだろうか、とヘイムダルは思った。
 首を失った金色のレイアの身体は、数歩だけ前に進み、黒いレイアの前で血を流しながら崩れ落ちた。

「まだ雛じゃが、長ずれば一国をも滅ぼしかねない危険な害獣じゃ。今のうちに処分しておくに越したことはない」
 事も無げに、涼しげに。
 ヘルは微笑を浮かべながら言い放つ。

 黒いリオレイアはその声を聞きながら首を地面に横たえた。
 全身から力が抜けていく。
 
 そして、その視界は闇へと堕ちていった。



06.

 あっけに取られているヘイムダルの前で、それまで身じろぎ一つしなかったフェンリルが、首を振りながら起き上がろうとした。
 だが、テュールの紐がまだ身体に絡みついたままで、思ったように動くことが出来ないでいる。

 それに気が付いたヘイムダルは、殺意を込めた眼でフェンリルを見て、ヘルに向かい「眼を覚ましたが、こいつはどうするんだ?」と聞いた。

 フェンリルはすぐに正気を取り戻し、まわりの状況を眼で確認する。
 囲まれているのはわかったようだが、それでも必死で逃げ出そうとした。

 だが、絡みついているテュールの紐の片端をヘルが踏みつけると、フェンリルはそれに引っ張られてバランスを崩し、まともに受け身も取れないままに、またしても転倒した。
 ヘルが顎で指図すると、ガルルガが音もなくフェンリルに近づき、短いロープで手際よく拘束してしまった。
 大声を上げ、噛み付こうとしたフェンリルを喉輪で押し返し、そのまま猿ぐつわまで噛ませる。
 惚れ惚れするような鮮やかさで完全に拘束してしまうと、ガルルガは何も言わずにフェンリルから離れた。

 ヘルは動けなくなったフェンリルに近づき、サディスティックな笑い顔を見せながら、話しかける。

「我々は貴様を殺す役を負ってきたギルドナイトじゃ。わかるか? ギ・ル・ド・ナ・イ・ト」
 
 それを聞いてフェンリルの顔がみるみる青ざめる。
 密猟者稼業の長い彼は、ギルドナイトが実在する事を知っていたし、それに捕まった者がどのような目にあうかも、又聞きにだが聞いていたのだ。

 脂汗をかき、涙すら浮かべるフェンリルを見ながら、ヘルは続ける。

「この場に居るのが我々のみであれば、面倒じゃから樹にくくりつけて帰るところじゃが、今回は部外者の目がある。本当に本当に面倒くさいが、捕縛した際の規則に従いギルド本部に連れ帰って、貴様の犯行と、仲買人共の黒幕に関して洗いざらい吐いてもらうことになるの」

 なんとか拘束から逃れようともがくフェンリルの首を掴み、ヘルは嗤う。

「まあその過程で、拷問で死ぬか、廃人になるか……よしんばそれに耐えたとしても、自白を促す薬によって正気を失うか。ギルドの司法官どもは、我と違って無情じゃ。まあ楽しみにしておくことじゃな」
「フォレガ! ……ファンデ! フォンファフェニ! アファナケレファイフェナインファ!」
 フェンリルは必死にもがきながら声を上げたが、噛まされた猿ぐつわのためその内容は誰にも聞き取ることはできなかった。
 ついに泣き出し始めたフェンリルを、ヘルはもはや一顧だにもせず、ヘイムダルに言った。
「とりあえず、先程の質問への答えはこんなものじゃが……他に何か聞きたいことはあるかの?」
「……いや、別に無い……」
 ヘイムダルは、やはりこの女は好きになれんと思い、顔をしかめながら答えた。

 ハンターたちがそんなやり取りをしている間、テュールはカーラから渡された折れた剣鉈を、呆然としながら見つめていた。
 フェンリルへの憎悪もなにもかも、感情という感情がなくなってしまったような目をしていた。

 それを見ていたガルルガが、テュールの肩を叩いた。
 ゆっくりと振り向いたテュールの見ている前で、彼は無言で自分のハンターナイフを鞘ごと外すと、テュールに渡した。

 テュールは不思議そうな顔をしながら、それを受け取った。
 テュールの身体には大きめのナイフを鞘から抜く。
 暗殺者が使うにふさわしい、それは刃まで黒く塗られたナイフだった。
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category: モンハン小説

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