モンハンブログ 週末の笛吹き

主にMH3GとMH4、MH4Gそしてモンスターハンタークロスのプレイ日記を書いていきたいと思います。現在は「ロキ」という名前でオンラインに出没中。モンハン以外の事を書くブログ「ロキの試験的駄文」も始めました。

モンハン小説 第五話『ブラックウィドウ』 その4 

対ネルスキュラ戦。
その4になります。

前回も今回も、ネルネルが独白していますが、この辺りはどうするか葛藤もありました。
これはジャギィ戦の時からありました。

ゲームでは、モンスターは基本的に意思を表現しません。
そして、それが「自然と対峙する」というハンターの立ち位置を決定づけているようにも思っています。

だから今なお、もっと別の表現の仕方があったのでないかなと思っています。

それはともかく。

ネルスキュラにもジャギィにも、自分の意図や意識を言葉で表現させていますが、これは別に彼らが人間の言葉でモノを考えているわけではなく、人間の感情や意識に直したとしたらこんな感じ、というだけの話です。

実際には、人間には理解できない彼ら独自の「感覚」で、感情や意識は動いています。

まあそのあたりは書き手がどう考えているかというだけの話。出来上がった作品にはあまり関係のない、言い訳のようなものです。

今回は、ネルスキュラとヘイムダルの激戦回。
楽しんでいただければ、と思います。


人気ブログランキングへ


01.

 昨夜キャンプを張った丘にまで撤退すると、背の高い樹にテュールが登り、額に手を当てて今来た道を見下ろした。
「追ってきているか?」
 背丈の何倍もの高さから、テュールはくるりと一回転して飛び降り、ヘイムダルの言葉に対して頷く。
 ヘイムダルは思案顔になり、しかしすぐに決断して、樹に繋いであったグァーガを指差した。テュールは無言のままグァーガを解き放ち、その轡を取る。すぐに移動する準備を整えた。
「嬢ちゃん、聞こえるか?」
「……はい……耳鳴りがひどいですけど、なんとか」
「方針を転換する。縄張りを出て追ってくる以上、撤退は無しだ。村まで着いてきたら、それこそ事だ。あの跳躍力は柵を楽に飛び越えるだろう。森の中で狩る必要がある」
 ヘイムダルの言葉にユヅキは真剣な表情でうなずいた。
 自分も死ぬ気で戦う、と、答えようとすると、それに先んじてヘイムダルが言った。
「嬢ちゃんは戦闘には加わるな」
 言葉が理解できるまで数瞬かかった。
「……? え? ……なんでです?」
 きょとんとして、しかし次の瞬間に、ユヅキはヘイムダルに詰め寄った。
「私にも双剣使用資格があります。どうしても倒さなきゃならないんだから、戦力は多いほうが……」
「黙れ」
「……!」
 短い、しかし迫力のある言葉に、ユヅキは口を出せなくなった。
 ヘイムダルが凄みを見せたのは一瞬だけで、すぐにいつもの漂々とした表情に戻る。
「高圧的に出て、悪いな嬢ちゃん。今は論じている時間がないから手短に話す。嬢ちゃんの資格は身体能力と武器の使用技術を保証するだけのものだ。実戦経験が伴っていない。何よりパーティを組んでの狩りはソロとは違った経験がいる。嬢ちゃんにはそれが圧倒的に足りない」
「……それは……」
 ついさっき、ヘイムダルとテュールの連携について行けず、ただオロオロしてしまった自分を思い出す。
「練度の低い兵を前線に出すわけにはいかん。そもそも、武器使用資格持ちのギルドガールであっても、狩りに出るのはやむにやまれぬ事情があった時に限るという文言があったはずだ。正式のハンターではないんだから、それも当然だろう」
 ユヅキは膨れながら俯いた。
 理性では納得できる。だが、役立たずと言う意味のことを、言葉を変えて言われているような気がした。
「狩場では、オレとテュール二人だけのほうが能力を発揮できる……だから、嬢ちゃん」
「は……はい」
「別の仕事を頼みたい」



02.
 
 ヘイムダルは、テュールと二人で数日前に見つけた洞窟の入り口付近にいた。いつ襲われてもいいように、どちらも武器を構えている。
 あたりは鬱蒼とした木立。
 やがて、樹を押し倒すメリメリという音が遠くから聞こえ始めた。
 樹と樹の間の闇に、蒼く並んだ六つの眼が見えた。

 その頃。
 洞窟の中で、ユヅキは罠を仕掛けていた。
 キャンプ跡で、ヘイムダルは「あの洞窟にネルスキュラをおびき寄せる」と言った。
 まず、自分たちが交戦してネルスキュラを疲れさせる。頃合いを見計らって洞窟に入り、罠にかける。
 その準備をしておいてくれ。麻酔玉も忘れるな。
 あいつはおそらく好奇心が旺盛で、珍しい物が好きだ。ネコの子供のようなものだ。あの巣を見ただろう。本来はアーチ状のものを幾つか作れば用は足りていただろうに、無駄な労力を使っていくつも、中には無意味な木組みまで作っていた。
 珍しい物を好み、それを自分で作ろうとまでしていた。
 待ち受けていた巣から、わざわざ出てきてオレたちを追うのも、人間というものを見たことがなく、珍しいからじゃないかと思う。
 奴の動きは速い。ただの罠では踏み越えられる可能性がある。
 だから、あのネルスキュラの興味を惹くような仕掛けも考えてもらいたい。
 オレはそういうのは苦手だから、やり方はすべて任せる。

 そう言われて、ユヅキは自分の幼稚さを自覚し、照れ隠しに軍隊式の敬礼をして、指示を受けた。
 そうなると、もともと聡明なユヅキのことである。心を完全に切り替えて、作戦遂行のための手順を考えはじめた。
 ネルスキュラが現れるまでの僅かな時間に、退避経路と行動計画を立てて口頭で伝え、頭に入っている地図を頼りに、数日前に見つけた洞窟へ先導した。

 退避行の間、ユヅキは言った。
「モンスターを狩るとなると、クエストとしてギルドに報告しなければならなくなります。書類作成のためクエスト名が必要なのですが、どうしましょう?」
「……任せるよ」
「そうですね、じゃあ……」
 森の中を歩くことに慣れたユヅキは、ほとんど息を切らさず前進しながら、少し考えた。
「クエスト名は、黒き未亡人ブラックウィドウ、としましょう」
 白い甲殻を持つネルスキュラが、黒っぽい別のネルスキュラの皮を着込んでいるその姿は、死んだ夫を悼み喪服をまとう白い肌の女性を思わせます、とユヅキは真面目な顔で言う。
「……任せる」
 ヘイムダルは、表情を動かさずにそう繰り返した。



03.

 洞窟の外から、ギャラルホルンの攻撃音が聞こえてきた。ネルスキュラはやはり追ってきていたのだ。
 シビレ罠自体はすでに仕掛けられている。
 あとは、あのネルスキュラの興味を惹く何かを設置するだけだ。
 洞窟内にあった骨や、野生動物がくわえ込んできたらしい木の枝などをくくって、あの巣にあったような十字架を作り、立ててみる。
 しかしこれだけでは地味すぎて、あまり意味があるようには思われなかった。
 ユヅキは少し考えてから、洞窟の奥、細い道の先に隠していたグァーガ車に戻り、中から標本として採取していた純度の高いマカライト鉱石を取り出した。
 普通は孔雀石と呼ばれるマカライトだが、純度が高く冴えた蒼色に輝くものは蒼天石という別名がつく。
 ユヅキはアイテムボックスの中からネンチャク草と一緒にそれを持ち出し、幌付きのリアカーから這い出た。
 巨大モンスターの気配を感じ、怯えきってしまっているグァーガをひとなでして罠に戻ると、ネンチャク草を接着剤にして、マカライト鉱石をクロスの交差部分に貼り付ける。
 一歩下がって全体を見てみたが、しかし暗い洞窟の中では蒼天石の蒼は目立たなかった。
 また少し考えてから。
 ユヅキはウエストポーチを開けた。
 緊急で使う可能性のある回復薬や、連絡用の打ち上げ式音爆弾などが入っているが、その中から閃光玉を取り出す。
 素材玉に貼り付けられた光蟲はまだ生きており、その習性にしたがって僅かに発光していた。
 ユヅキはそれをクロスの上に貼り付けた。
 光蟲が発する柔らかい光を蒼天石は反射し、暗闇の中で浮き上がるような蒼い輝きを見せた。
 ユヅキの眼から見ても、それは美しく神々しい物に映った。



04.

 ネルスキュラの動きは素早く、鎌のような形をしたその爪は鋭い。
 だが、巣から出たネルスキュラはその脅威度を減じていた。
 拓けた平地であったその巣とは違い、ヘイムダルが陣を張った洞窟の入口近くは、大小様々の樹が立ち並んでいる。巨体のネルスキュラはそれらに邪魔され、引っ掛かり、思ったように動けない。当然、ヘイムダルはその地形を利用して立ち回っている。
 力づくで振り回す前脚の爪が巨木に刺さって、ネルスキュラの動きが止まると、そこをヘイムダルが攻撃する。力づくで引き抜くと、勢いが余って転倒する。さらにそこを狙われる。
 土にまみれたネルスキュラは、目に見えるほどの怒気を噴出し、蒼かった眼を赤く染めた。

 こいつは、動き自体は速く鋭いが、攻撃の狙いは甘いし、周りも見ていない。おそらくは経験が少ないのだろう、とヘイムダルは思った。
 ハンター並の身体能力と武器使用技術を保証する資格を持っていても、実戦経験が無いために狩りに参加させられなかったユヅキのようだ、と。

 怒り状態になってネルスキュラの動きは加速するが、その分、攻撃の精度はますます悪くなる。もともと、こちらの動きを読まれている感じは無かったが、今では眼に映るヘイムダルやテュールに向けて反射的に爪を振り降ろし、のしかかろうとするだけだ。こちらが回避行動を取るという基本的なことすら、頭から抜け落ちてしまっているようだ。
 年経たモンスターは、こちらが動く先を予想して攻撃を仕掛けてくるものだが、そのような老獪さは全く感じられなかった。
 逆に、ヘイムダルからするとその動きは読みやすくなる。
 かわしやすいのは当然だが、その後の攻撃も余裕を持って行える。
 ネルスキュラを手玉に取るように打撃を加えながら、ヘイムダルはつぶやいた。
「これは、未亡人なんて人生経験のある大人の女性じゃないぞ、嬢ちゃん。むしろ、苦労を知らずに親元で育った箱入りだ」

 動き回りながらも、一撃すら当てることができずに、ネルスキュラは地団駄を踏むような行動を見せた。
 すでに攻撃でも防御でもない、ただイライラを噴出させただけの動き。
 ヘイムダルはその隙を見逃さない。
 ギャラルホルンを両手持ちに構えて頭上に振り上げ、敵の頭部に思い切り振り下ろす。
 ついに、ネルスキュラの身を覆っている黒い甲殻の一部が弾け飛んだ。



05.

 思ッタヨウニ動ケナイ。関節ガ痛イ。樹ガ邪魔ダ。
 日々大キクナル身体ダケニ、感覚ガズレル。
 イライラスル。

 激しい怒りがこみ上げてくるのがわかった。冷静さを保てと本能がささやきかけたが、しかし制御など出来なかった。
 身体中の血が熱くなり、全身の体温を上げる。
 動きが加速する。
 
 当タラナイ! コンナニ速ク動イテイルノニ! 爪ヲ振リ降ロシタ時ニ、モウソコニイナイ。
 イライラスル!
 打タレル。
 痛イ!
 悔シイ!
 痛イ! 痛イ! 痛イ!

 イラつきを抑えきれなくなり、脚をばたつかせる。今までこんなことはなかった。牙を持ったイノシシも、紫の鳥竜たちも、傷も負わずに蹂躙してきた。
 あの食欲に襲われた時にはオトウサマだって……!

 駄々をこねるように、「彼女」は身を震わせた。しかしその隙を見逃されるはずもない。
 右前脚の爪を思い切り叩かれた。
 自慢の爪が。
 数々の獲物を引き裂いてきた爪が割れた。
 呆然として、傷ついた自分の脚を見る。
 更に、相手の音を出す武器が頭上に振り下ろされた。

 一瞬、気が遠くなるような衝撃だった。
 眼の中に閃光が走るようで。
 そのまま意識が暗転しそうになる。
 しかし、その直前に「彼女」は見た。
 今まで、自分を守っていてくれたオトウサマの甲殻が、弾け飛んで地に落ちた。

 その瞬間、激情の波が彼女の意識を奪った。
 
 オノレ! ヨクモオトウサマヲ!

 獰猛な感情が、黒い霧のようになって自我を覆い尽くした。
スポンサーサイト

category: モンハン小説

TB: 0    CM: 0   

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://mhblog563.blog.fc2.com/tb.php/862-7cf57f11
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

カウンター

プロフィール

リンク

インデックス

MHロキのツイッター

人気ブログランキング

検索フォーム

最新記事

最新コメント

RSSリンク

アクセスランキング

月別アーカイブ

カテゴリ

ブロとも申請フォーム

QRコード