モンハンブログ 週末の笛吹き

主にMH3GとMH4、MH4Gそしてモンスターハンタークロスのプレイ日記を書いていきたいと思います。現在は「ロキ」という名前でオンラインに出没中。モンハン以外の事を書くブログ「ロキの試験的駄文」も始めました。

『モンハン小説未来編 第三話 ウルズ、装備を作る』(7~9 / 13) 

 ちょっと気になったことを補足説明。

 この世界は炭鉱婦も多いので、炭鉱夫に混じって女性がピッケルを振るっていることも珍しくはありません。
 そのため、炭鉱のような場所ではむしろ厳しい規律が生まれ、複数の男女が同室で寝起きしていても、強引に迫るのはご法度となるという不文律が存在しています。
 ていうか、そうでないと炭鉱婦なんて出来ないような気がします。
 恋愛に発展するのは当人たちの勝手ですが、鉱山の中ではダメ。山の神様も怒るかもしれないし。
 まぁ、そういう設定ということで、ひとつよろしくお願いします。

 それはともかく。

 今回はお風呂回。
 ウルズとフレイアが同じ湯船に浸かっています。
 お楽しみに。


物欲大社へお賽銭をあげる ⌒*⑤



07.
 三ヶ月ほどして。

 フレイアとロキは、集会所にいた。
 基本的に屋外型である集会所の中心には巨大な円形花壇があり、その周辺にテーブルと椅子が配置されている。そこは様々なパーティが待ち合わせや、狩猟に関する打合せのために使用している。
 ウルズを仕立て屋へ連れて行った春から、季節が一つ進んでいた。
 アイルー屋台のクレープを頬張っていた時には、まだ蕾しかなかった色とりどりのペチュニアが、一人と一匹の目の前で、今が盛りと咲き誇っている。

 普段は明るい彼女らも、今は不安そうに顔を見合わせていた。

「ウルズ……今頃なにをしてるんだろう……やっぱりあの時、無理矢理にでもお金を貸しておけばよかったのかな」
「それはそれで、ウルズのためにならなかったかもしれないニャ。しかし、こんな長期間消息不明になるとは思わなかったニャ……」
 不安が二人を苛む。
「……ウルズは、あんまり感情を表に出そうとしなかったけど、基本的にやけっぱちというか、世の中を斜めに見ていたニャ。あれは多分、問題のある手段でも平気で取れるタイプニャ。それが一番心配ニャ」
「問題のある手段って……」
 フレイアはロキの言葉を聞いて、少し首を傾げた。そして、何かに思い当たったように顔を赤らめた。
「ウ……ウルズはそんな娘じゃないわ!」
「……何を考えているニャ」
 ロキは呆れたようにフレイアに言った。
「ウルズは……言ってはなんだけど、心のなかでは世間を恨んでいるフシがあるニャ。それを外に出さないのは、単にあいつの処世術ってだけニャ。まぁ最近は随分と前向きになってきていたのは確かだったと思うけどニャ」
 フレイアは反論しなかった。フレイアが持つウルズのイメージも、ロキのそれと大差がない。

 ウルズに興味を抱いた理由は、自分でも解らない。
 そもそも、自分が何に対して興味を抱くのか。
 狂的なまでの興味を抱くのか。
 それは自分で制御できるものでもないのだ。

 ただ。

 今になって思うと、ウルズに関しては、その心にある闇が見えたから……ではないか。
 自分には経験のない、ほとんど想像すらしたことの無い人生が、考え方が、垣間見えたからではなかったか。
 ウルズの過去を聞いたことはない。
 ただ単に貧乏だったというわけではなさそうなのだが、さすがに根掘り葉掘り聞くことは出来なかった。
 確かに興味はあるが、それを満たすのは、いつか私に心を許し、話してくれるのを待つしかないと思っている。
 それまで、どんな経験を私たちはするのか。
 そして、その時に私は彼女に何が出来るのか。あるいは彼女に何をしてもらえるのか。
 それは今のフレイアには解らない。
 解らないからこそ、ウルズへの興味は薄まること無く、心のなかの重要な一部分を占めているのだ。

 そんなことを考えていたフレイアの肩を、後ろから肉球のある手が叩いた。
「見つけましたニャ。フレイアさん、フレンドコールが出ていますにゃ」
 集会所受付嬢の補助をしているアイルーの一匹、ウドンだった。
 ウドンは、フレンドコールの詳細が記された書類をフレイアに渡すと、受け取り確認のサインを取って事務所の方へ帰っていった。
 フレイアは一瞬呆然とし。
 次の瞬間には慌てて、ロキとともに書類を覗き込んだ。
 呼び出しをかけてきた相手は。
 ウルズだった。


08.
 受付嬢にフレンドの呼び出しを頼み、私はフレイアが来るまで受付のカウンター席で待つことにした。
 今日はハンターが殆どおらず、機械仕掛けの人形のような雰囲気の受付嬢も、暇をしているみたいだった。
 普段、狩猟受付の際には無駄なことを一切しゃべらない彼女だが、今日は珍しく私に話しかけてきた。
「少し、雰囲気がお変わりになりましたね」
「……結構、過酷な環境でしたから、そのせいかも」
「それもあるのでしょうが、いいえ、前よりも柔らかになられたようにお見受けします」
「柔らか……ですか?」
「ええ」
 会話はそこで止まってしまった。お互い様だが、彼女は雑談は得意ではないようだ。
 気まずい沈黙になってしまった。
 そんな時に、受付事務所のドアが乱暴に開かれた。
「出入りはお静かにお願いします」
 受付嬢は入ってきたハンターに鋭く注意したが、それは全く無視されてしまった。
 フレイアとロキは、私の顔を見ると行き急き込んで駆け寄ってきた。
「ウルズ!」
「お前! どこでなにしてたニャ!」
「こんな長いこと……心配したじゃない!」
「……うん、ごめん。反対されるかもしれないと思って、行き先を言わなかったんだけど……私もこんなに長くなるとは思ってなかった……」
「募る話は後よ。まずはどこか、落ち着ける場所に行きましょう」
 まったく落ち着いていない一人と一匹に手を引っ張られて、私は席を立った。
 振り向くと受付嬢が、それこそ柔らかいと表現できるような笑顔を見せ、手を振ってくれた。
 私は、掴まれていない方の腕を上げ、それに応える。
ウルズの手を引っ張るフレイア 
「引っ張らないでよ、フレイア。行くから、ちゃんと」
 私は、フレンドとそのオトモに連れられて事務所を出て行った。

 ……
 …………

 私の希望で、いつか食べたあのクレープ屋台の前に来ていた。
 甘く蕩けるようなクレープを喰みながら、私は少々涙ぐんでいた。
 美味しい。
「……ウルズ……」
 フレイアは、そんな私を見て絶句した。
「お前……この三ヶ月間、何してたニャ。怒らないから、何があったのか、話してみるニャ」
「……え? いや、怒られるようなことはしてない」
「本当? クサい飯を食わされて、シャバのスイーツの味を噛み締めてたんじゃ……」
「……いやまぁ、確かに飯は美味くなかったけど……」
「そもそも、なんでそんな日に焼けてるの? 髪もボサボサになって……」
「……三ヶ月間、炭鉱に行ってたんだ」
「炭鉱? まさか……火山?」
「うん。鉱石を掘ってた」
「キツいけど金になる……そんな仕事の代名詞ニャ……」
「作業自体は単純なんだけど、たまにウラガンキンと遭遇するし、ひたすらピッケルを振り続けてたし。溶岩の照り返しで暑いし。周りは男の人ばっかりで、宿泊もタコ部屋に放り込まれてたし……環境が劣悪だった……本当はもうちょっと早く帰ってくるつもりだったんだけど、契約が最短でも三ヶ月だったから……」
「それは……」
「辛かったニャ……」
「慣れたらそうでもなくなってきたんだけど。最終的には、男の人達に囲まれるのが一番精神的に辛かったかな。見てよこの腕」
 私は袖をまくって力を込めた。細いなりに、筋肉が付いていた。
「肌の手入れとかは……まぁやらなかったわよねぇ……」
 フレイアは、私が思っていたのとは別の反応をした。せっかく力がついたのだから、それを褒めてほしかったのだが。
「状況は大体わかったニャ」
 ロキが場をまとめた。
「それで、肝心の目標は達成できたのかニャ?」
 その言葉に、私は不敵に笑った。
「これ、見て」
 自分のギルドカードを取り出す。
 本来ならば他人に提示するべきではないプライベートなステータス部分だが、フレイアたちにならばいいだろうと思って、それを見せた。
 ギルドに預けてある所持金の欄に、かつてなかった額の数字が書き込まれていた。
「鉱石はほとんどお金に変えてきた。頭金はもちろん、必要額の半分くらいまでは一気に払える。これなら、分割の支払いも短く終わらせられる」
「ウルズ……たとえ親しい相手にでも、預金額とかは見せるべきではないニャ。これは社会的な礼儀でもあるニャ。……まぁそれはともかく、お前、本当に頑張ったんだニャ」
「凄いじゃない」
 フレイアも目を丸くしていた。
 私は。
 胸を張りたい気分になった。そして、ふと思った。
 これが、誇らしい気分、というやつなのか。
 悪くない。
 そう思った。


09.
 すぐにでも仕立屋に行きたい。そう思ったが、フレイアがそれを許さなかった。
 ああいう店は、客としてもそれなりに身なりにも気を付けなければいけない。ウルズ、あなた鏡を最後に見たのはいつ? そう聞かれて、私は真剣に悩んだ。
 少なくとも、炭鉱にいる間は見ていない。あそこのタコ部屋に、鏡なんて洒落たものはなかった。あっても粉塵にまみれたオジサンが殆どだったから、見る人など誰もいなかっただろう。
「貴女も女の子なのよウルズ……」
 額に手を当てて、うつむきながらフレイアは言った。
「わかってる。言いたいこともわかってる。でも……」
「せめて手鏡を買いなさい。いや、買ってください、お願いだから」
「は……はい」
「ちゃんとしてれば、可愛い顔をしているんだから。別に自分がどうこうってだけじゃないの。身なりに気を使わないと、その内面までいい加減になっちゃうんだから」
 フレイアは言い募る。……可愛い顔……と、言われたのは、生まれて初めてのような気がする。
「とにかく。今のウルズは髪といい、肌といい、……その……匂いもね、ちょっと酷い事になってる。その格好で服屋に行ったって、店にとっては迷惑にすらなる」
「そ……そんな、そこまで酷い……?」
「……とりあえず。まずはお風呂屋さんに行きましょう」

 ……
 …………

 私達が拠点にしている街はそれなりに大きい。スパなんかも幾つか存在している。
 温泉が出ているわけではないのだが、湧き水を温めて浴場としているのだ。
 フレイアに指摘されて、確かに自分が炭鉱の粉塵にまみれていることに気づいた。
 三ヶ月間。
 おじさんたちの目を盗みながら身体を拭くだけの生活に慣れてしまっていたが、意識してみれば、確かにゆっくり湯につかってサッパリしたいという気持ちがわいた。

 何よりも、お金にはかつてないほどの余裕がある。多少の贅沢も許されるだろう。

 私たちは、街の中でも最も大きなスパに向かった。
 山際近くにあるそこは、広い敷地を誇り、食事処やマッサージスペースなども併設されている。

 フレイアは、自分へのご褒美は大事だと言った。
 私は、その言葉に従った。

 まずは入浴。幾つもの浴槽がならんだ大浴場だった。
 こんな贅沢に湯を使ったのは初めてである。
 そしてマッサージ。大柄なアイルーのマッサージ師に、肉球をうまく使った全身もみほぐしのコースというのを頼んだ。
 他人に身体をマッサージしてもらうなんてのも初めてだった。
 そして食事。
 もう食べれないと思うほど腹にものを詰め込んだのも、もちろん初めてだった。

 さっぱりしたし、すごく気持ちよかったし、美味しかった。
 火山での疲れが、溶けていくようだった。

 ん?
 他に何を記載しろというのだ? 入浴シーン? こんな貧相な身体だ。その需要はあるまい。
 ……まぁ。
 とりあえず一緒に入浴したフレイアは、いい体をしていた。
 ハンターとしての引き締まった筋肉と、女性らしい丸みが両立した、美しい肢体だった。
 とだけ言っておく。
 あれを見られるのは、女湯に入れる者の特権だろう。

「ウルズ、なに一人でブツブツ言ってるの?」
「いや、なんでもない。……まぁとにかく、とりあえず、やっと人心地がついたよ。来てよかった。明日からはまた質素倹約の日々に戻らなきゃ……だけど」
「そうね、贅沢に慣れるのはよくないわ。でも、今日くらいは良いと思う」
「明日、仕立屋に行くニャ?」
「うん。……ちょっと、緊張というか、ワクワクするというか。不思議な感じだ」
「気持ちは分かるわ」
 宿泊のために取った三人部屋で、私たちは夜が更けるまで話していた。
 楽しい時間だった。
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category: モンハン小説

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