モンハンブログ 週末の笛吹き

主にMH3GとMH4、MH4Gそしてモンスターハンタークロスのプレイ日記を書いていきたいと思います。現在は「ロキ」という名前でオンラインに出没中。モンハン以外の事を書くブログ「ロキの試験的駄文」も始めました。

モンハン小説第5話「ブラックウィドー」 その1 

本当は、9月20日には完成させようと考えていたモンハン小説第5話。
仕事の忙しさを言い訳に、何も進めずに、ついに10月。

ふんどしを締め直して行きます。

……とは言っても。

ローゲ 赤褌
この画像は実はちょっとした伏線です。
ローゲくんにふんどし(ボーングリーブ)を装備してもらうという意味ではありません。

とにかく。
小説のできているところまでをまず公開。
これを近いうちに動画化しようと思っています。
動画作成終了まで公開を見合わせると、今更ながらあまりに間が開きすぎてしまうのと、公開しながらの方がモチベーションを保てるのではないかという考えから、このようなやり方をすることにしました。

小説の内容としては。
とりあえず、ヒュミルくんの名前を出すことが出来ました。
ちょっとネタバレですが、このキャラは……
……
…………
やっぱり書くのはやめておこう……。

作中時間で10年以上後にフレイアと出会う「ウルズ」と似たような生い立ちの彼。
実は。
がっつりパクった設定があります。

それがこれ。

やる夫はソロハンターのようです

広い世界には全然認知されていない(と思う)けど、実のところかなりの広がりを持っているAA(アスキーアート)で物語などを描いていく同人活動。通称やる夫スレッド(?)。
モンハンを取り扱った作品も古くからあり。
その中でも直球の王道物語が「やる夫はソロハンターのようです」
それ以外にも、「やらない夫はモンスターハンターになるようです」や「モンハン自衛隊」など、作品としてレベルの高いスレッドがありますが、「ソロハンター」のシンプルながら熱いストーリーにココロを掴まれてしまい、ヒュミルやウルズ周辺の設定などに大きな影響をもらいました。ていうかパクったニャス。

さて。
御託はともかく。

例によって、記事を折りたたんだ先に本文を掲載させていただきます。
よろしくお願いします。


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00.前回のあらすじ

 大陸の中央部に広がるガルガリ大森林。その中にあるガルガリの滝の村。
 未開の地である森林南部より、50匹以上のジャギィたちを率いたドスジャギィが村に迫った。
 村付きのハンターであるヘイムダルとそのオトモたちは、村の廻りに築いた5箇所のベースキャンプを防衛線として群れの北上を阻止。首領のドスジャギィを討伐して村を守った。
 しかし、群れがなぜ本来の縄張りを捨てて移動してきたのか。
 その理由を探るため、ヘイムダルはオトモのテュール、ギルドガールのユヅキと共に、樹海の南の探索を決意した。


01.ガルガリ大森林・未知の樹海の探索行(ユヅキの記録より抜粋)
 探索行初日。
 ハンター・ヘイムダル、オトモアイルー・テュールと共に村を出立。最長30日の予定での探索行となる。
 目的は、先日迫り来たジャギィの群れの営巣地跡を発見する事と、営巣地を放棄した理由の調査。
 予想されるのはより大型のモンスターによる縄張り荒らしであり、場合によっては大型モンスターの討伐も考慮される。
 平行して、ギルドガールとしての仕事である、大森林の博物学的調査や、地図の作成なども行う。
 道無き道の踏破が予想されるため、輸送はごく小さなグァーガ車一台のみ。村の農業用のものを借り受ける。
 武装である狩猟笛ギャラルホルン、双剣ツインチェーンソーの他、狩猟および採取に必要な物資各種、簡易テントや調理器具などの宿泊用資材、書類作成のための筆記具などを持ち込む。食料は7日分の携帯食料を予備として準備しているが、基本は現地調達となる。
 私信として。
 アイルーのテュールも居るとはいえ、成年男性との旅路であるという点にやや不安はある。
 とは言え、ヘイムダルさんはそういう人ではないという信頼感も強くはある。

 ~~

 探索2日目
 村の南西に設置されている第4ベースキャンプを経由し、ガルガリ川沿いに南下してガルガリの滝を越える。滝の南からが実質上の出発点となる。
 ベースキャンプでは、11匹のアイルー(テュールを含めると12匹)達のうち6匹と、ハンター不在時における村の防衛に関する最終的な打ち合わせを行う。初日の夜は第4ベースキャンプに宿泊した。これから私達が探索行に出る間、五ヶ所のベースキャンプを常時二匹態勢で哨戒してもらうことになる。
 ジャギィたちは河に沿って北上してきたと予想され、また森林の中よりは河原の方がグァーガ車を動かしやすいという理由もあり、自分たちも原則的に川沿いに南下するという計画になっている。ただし、ジャギィたちの移動の痕跡が河原を離れていた場合はその限りではない。
 ここまでは、河原にジャギィたちの食い散らかした跡や糞などが散見されるため、川沿いに北上してきたという予想に間違いはなかったと言える。
 私信として。
 ガルガリの滝は久しぶりに見たが、さすがに圧巻。水量、落差ともに迫力のある大瀑布である。
 また、ヘイムダルさんが狩猟を終えて村に戻った時に、お風呂に拘る理由も分かる気がしてきた。川沿いに移動しているため水浴びは出来るが、お湯を使うということがいかに贅沢なのかを実感する。自分の故郷が火山帯の温泉街だっただけに、湯を使えるということを当たり前に考えすぎていたのかもしれない。

~~

 探索5日目
 見晴らしのいい丘陵地頂上でキャンプを張る。安全の確保を保証できなかったので、交代制で見張りを立てる。
 付近の植生、地形などを調べながらの探索行となる。時間が経ってしまったためか、ジャギィたちの移動の跡がやや希薄になってきている。付近の森林で調査を行いながらの探索であるため、距離的にはまださほど遠くまでは来ていない。
 植物やキノコなどの植生自体は村周辺とさほど差は無いが、ほぼ人間の入らない領域に来ているため、採取ポイントは非常に多い。
 昆虫を含めた生態系も複雑化してきている。
 特筆すべき事として、村周辺では見かけたことのない野生の操虫ハルンキータを発見。成虫であるドルンキータの養殖個体を一体のみ購入しベースキャンプ間の緊急連絡用として使役しているが、あるいは自前での生産が可能になるかもしれない。
 私信として。
 丘の頂上から北を振り返ると、遠景に大森林の中の切り立った崖と、その中央辺りに大瀑布ガルガリの滝を見ることが出来る。絶景。
 ただ、崖の位置などには不自然な感じを持った。自然に形成されたというには、周りと調和していない。
 まるで、強く巨大な爪に大地が抉り取られたかのような印象を持った。

~~

 探索8日目
 ジャギィ達が残した跡は希薄にはなってきているが、基本的には河原周辺に糞などが残っているため、やはり川沿いに北上していたのは間違いない。
 マップの作成や標本採取は順調。もともと未踏地の調査は期限が決められていた訳ではなく優先度も低い仕事だったが、今回は良い機会に恵まれた。ジャギィ達の襲撃が原因としてある以上、そう言っては不謹慎かもしれないが。
 詳細は別紙に記録するが、植生にやや変化が見られる。
 特にキノコに関して、食用や薬用に適した物が村周辺よりも多い。他の植生はあまり変わっていないため、これは気候や土地柄の変化ではなく、かつては村周辺でも生えていたものが、乱獲されてしまったがため絶滅したものと推測する。
 帰ったら、村長や村の古老に、かつて村周辺で見られたキノコ類の話を聴取する必要性あり。またここで採取したキノコの移植や栽培などの可能性を、アイルー圃場と打ち合わせることにする。
 それから河原からやや離れた場所に洞窟を発見。
 奥は深そうだったが、ジャギィ達が立ち寄った気配はなく、今回は簡単な標本採取のみを行い本格的な探索は次の機会とする。
 
~~

 探索10日目
 小高い丘の上で樹に登り、双眼鏡で周囲を確認。少し離れた場所の河の一部が石や木の枝でせき止められており、 人工の溜池のようになっているのを発見した。ジャギィにそのような習性があるという報告は聞いたことがないが、営巣地に適した地形になっているため、明日はそこを中心に調べることとする。
 本日早朝には、これもまた村周辺では見たことのないファンゴの小集団を発見。襲われたため排除した。数匹のファンゴを狩り、その肉を食べると、これが野性味は強くクセもあるが美味。ファンゴに関しては、昔には村周辺にも居たと村長から聞いたことがあり、危険排除という理由のほか、肉の味を求めて狩り尽くされてしまったのではないかと推測する。
 私信として。
 食事はヘイムダルさんが獲ってきた魚や動物、キノコなどを調理して食べている。今回のファンゴもそうだが、ヘイムダルさんの食材の下処理などが的確で、また持ってきている調味料も豊富なため、豊かな食生活になっている。
 ヘイムダルさんはキャンプの設営や水浴び場の設定なども丁寧で、探索行であっても快適性にこだわっているのが分かる。日常的に村周辺を周回しているが故の生活術なのだろう。
 意外、と、言ったら失礼になるだろうか。少なくともこの探索行に出る前には、もっとガサツな旅行きを想像していた。
 

02.夕暮れの森
 森の中としては比較的見晴らしのきく小高い丘の斜面に設営されたキャンプで、焚き火の明かりを頼りにユヅキはその日の報告書を書き終えた。
 中天はすでに星がまたたく紺色の空。地表に近くなるにつれて赤紫へと変わっていくグラデーションは、この時間でしか見ることの出来ない美しさがある。先ほど食べ終えたファンゴのこんがり肉の野性的な匂いが僅かに漂い、焚き火がパチパチと小さく爆ぜる音を立てている。
 静かな時間が流れていた。
 すっかり暗くなったらテュールが見張りから戻り、その後は深夜までユヅキが見張り役となり、それが終わるとヘイムダルが寝ずの番をする事になっている。今はユヅキとヘイムダルの二人が居るのみだった。
「書けたか? 見せてもらっても?」
 火の番をしていたヘイムダルが、ユヅキの方を向いて言った。
 ユヅキは少しだけ迷ってから、首をふる。
「コレ、帰ってから清書するためのメモ書きみたいなものですから。まだちゃんとした報告書になってないんですよ」
「そうか、分かった」
 二人の間に沈黙が降りた。
 ふと、ユヅキはこれまで気になっていたことを聞く気になった。
 村長の経営するバーや、ギルド事務所でならば多少冗談めかして聞くことも出来ただろうが、その気になることはなかった。
 この状況では、すこし勇気がいる。
 それでも。
 思い切ってユヅキは口を開いた。
「ヘイムダルさんから見て、私ってどうでしょう?」
 焚き火の向こう側に座るヘイムダルが、少しだけ意外そうな顔をしてユヅキを見た。
 小首をかしげ、考え考えしながら彼は言った。
「そうだな。……まだ若いが、良い仕事仲間に巡りあったと思うよ。仕事が丁寧で間違いもない。中央ギルドから派遣された割に、変に気取った所がなくて村の生活にも溶け込んでいるし、テュールも、そうは見えないかもしれないがあれでずいぶん懐いている。村に来る前のオレは、若い嬢ちゃんが相方と聞いて少し不安だったんだが、今となっては他のギルドガールではなくてよかったと思っているよ」
「……そうですか……」
 評価してもらえたことは嬉しい。しかし、微妙に、ちょっとだけ、聞きたい事とはズレていた。
 そんなユヅキの心情を僅かな表情の変化から察し、ヘイムダルは頭をかいて言葉を続けた。
「女性としてってなら、オレは胸にしても尻にしてももっと肉のついたのが好みだがな」
「……そうですか↓……」
「だが嬢ちゃんは可愛らしいし、何より性格がいい。出身なんかは聞いたことがなかったが、育ちもいい。息子の嫁に来てくれるってんなら、オレは割と何でもしていただろうな」
「え?」
 ヘイムダルの言葉を聞いて、ユヅキが怪訝な顔をした。
「ヘイムダルさん、息子さんが居たんですか?」
「ああ、いや。ものの例えだよ嬢ちゃん。だが……」
 ヘイムダルは少しだけ顔を曇らせた。
「そうだな。息子にしようとした……、養子として引き取ろうとしたのなら、一人だけ居た」
「それって? 軍隊の時に?」
「いや、ハンター養成所に居た時に知り合った少年だ。……名前はヒュミルといってな。テュールの元の主人だ」


03.ヘイムダルの昔語り
 ヒュミルは孤児だった。
 特に珍しい訳じゃない。山奥の村がモンスターに襲われ、両親が犠牲になった。そんなありふれた経緯で孤児になった少年だった。年は……そう嬢ちゃんより少しだけ下くらい。何処をどう流れてきたものか、奴は幼くしてハンターとして登録していた。
 これも珍しい事じゃない。なんせハンターギルドは来るもの拒まず。とりあえず武器だけ持っていれば、どんな奴でも登録は出来る。ハンターの登録数がギルドの勢力に直結するとはいえ、あれはどうかとオレは思うね。まぁ嬢ちゃんに言ってもどうしようもないことだが。
 ヒュミルは、どこで手に入れたのかもわからないボロボロのハンターナイフだけを持って狩場に行く底辺のハンターだった。
 これが同じくらいの年の女の子だったなら、好奇心か哀れみか、あるいは下心から一緒に連れて行くハンターも居ただろうが、なんせヒョロっと背の高いしかもボロをまとった男の子だ。集会所に屯しているハンターは誰も相手にしなかった。
 ハンターの基礎を習うことも出来ず、奴は一人で狩場に行っていた。
 嬢ちゃんも、短い期間とはいえ街のほうで受付嬢をやっていた経験があるんだろう? 居なかったか、そういうハンター。……まぁそうだろう。どこにでもそういう食い詰め者は居るもんだ。特にこういう時代だとな。
 ギルドガールからしてみれば、さっさと諦めて故郷に帰ればいいのにと思われるような輩が……いや、これは失礼かもしれんが、まぁギルドガールってのは基本的に良いとこの出の、しかも出来の良い娘が多い。
 帰る場所すら無いってのは、知識としては知っていても心の底から理解は出来ないものじゃないだろうか?
 ちょっと話が逸れたな。
 ヒュミルとテュールが出会ったのは、オレがヒュミルを知るのよりも前で、聞いた話では、餓死しかけていた子猫のテュールにヒュミルが食い物を分け与えたのが始めだったようだ。
 当然、ヒュミルも食い物が余っていたわけじゃない。自分も腹をすかせながら食い物をテュールに分けたようなんだ。もっとも、食い物といっても、食堂の裏口でまだ腐っていないってだけの残飯を漁って得たものだったそうだが。
 そう。
 普通、ああいうボロをまとって残飯を漁るような生活を、それも子供の頃からしている人間ってのは、まっとうには育たない。
 差別するわけじゃないぞ。しかし状況が人を作るのも確かなんだ。大人でも一人でそんな生活をしていたら、他人に何か分け与える余裕など無く、いかに他人から奪うか、そればかりを考えるようになる。それでますます疎外され、不満を溜め込んで怒りを飲み込んで、結局進むは暗い道になるのが普通なんだ。
 ……そう。嬢ちゃんの言うとおり、それが養子として奴を引き取ろうとした第一の理由だ。
 奴は、そんな状況にあってなお、素直で優しい性格をしていた。
 テュールが奴に心酔して、その後オトモアイルーとして奴の側に寄り添ったのも同じ理由だろう。
 オレが奴と知り合ったのは、ハンター養成所で座学を一通り終えて実践形式の演習に入った頃だった。伝手と実績を作ろうとして集会所に出入りしていてな。その時に奴と知り合った。……なんでオレはヒュミルの相手をしたのかって? まぁ確かに、他のハンターは誰もアイツを見てすらいなかった。オレもずっとハンターをやっていたら、おそらくは同じだっただろう。はっきり言って自分の人生を考えるならばそれが正解でもある。変な手合とわざわざ知り合う必要なんて無いからな。
 だが、知っての通り、オレは普通のハンターと出自が違う。
 軍隊上がりだ。
 軍隊ってのは、これもまた食い詰め者の終着点みたいな部分があってな。士官学校出の制服組はもちろん違うが、下っ端の兵隊にはヒュミルみたいな生い立ちのヤツも多かったんだ。
 オレもそうだった。
 しかもオレは、そういう若いのをしごいて鍛えあげるのも役目の一つだった。国境警備隊ってのは練度が高くなければ務まらないから、とにかく部下たちを鍛えあげる必要があったんだ。こう見えて、けっこうな鬼教官だったんだぞ。
 ……アイルー達の様子を見ていれば分かるって? そうか? 
 まぁそれはそれとして、だ。
 まずオレは、ハンターにもああいう存在が居るということを知らなかったし、どのように扱われているのかも当然知らなかった。だから他のハンターが持っているような忌避感がなかった。
 そして、そういう若いのを多く見てきた経験から、奴は稀有な存在だとすぐに解った。とにかくびっくりするくらい歪んだところがなかった。
 さらに。
 ついでにもう一つ。奴にはハンターの才能があった。
  奴の実績なんぞ、他の誰も見ていなかったが。ヒュミルは、 ドスジャギィを狩ったことがある。
 ボロボロのハンターナイフ一本で。研いでも切れ味は真っ赤でジャギィの鱗にすら弾かれるような片手剣で。
 驚いたねオレは。
 ヒュミル自身はそれを言っては来なくてな。あの時は、そう、テュールが嬉しそうにオレに話してくれたんだ。本当に嬉しそうで、誇らしげだったなあの時のアイツは。それで、オレは自分が一人前のハンターとなったらヒュミルを養子として迎えようと思ったんだ。
 ……そうだよ嬢ちゃん。テュールは別に生まれつき喋れなかったわけじゃない。それにアイツの毛皮は、今は白っぽいが元は黒だ。周りとつるまずにツンとしているが、あの頃のテュールはむしろ明るい性格だった。
 ……意外? まぁ今のテュールしか見ていないとそうだろうな。
 ヒュミルとの別れが、テュールを全く違ったアイルーに変えちまったのさ。


4.テュールの決意
 あの頃のあいつらは、狩場近くの廃墟群に住んでいた。ねぐらにしている正確な場所はオレもよくは知らなかった。招かれたことはないし、人を呼べる場所ではないとヒュミルは言っていた。
 とにかく悪いことが重なった。
 まずオレは、ハンター養成所の演習で長期遠征に行っていた。
 その状況で、テュールが病に冒された。
 なんて言ったか、若いアイルーがよくかかる……そう、その病気だ嬢ちゃん。栄養を取って安静にしていればそれほど怖いものではないが、そんな余裕があいつらにはなかった。栄養不足と疲労のせいもあって、劇症化したんだ。
 ヒュミルは、とにかく緊急で金が必要になった。
 時期も悪かった。
 リオス種の産卵期だった。分かるだろう。密猟者がもっとも活発になる時期だ。
 困っている食い詰め者に声をかけるのなんて、オレみたいな変わり者か、でなければ使い捨てのハンターを探している悪人か、だ。
 それはアイツも分かっていた。
 それでも。
 アイツはその誘いを受けたんだ。受けざるを得なかったんだ。
 オレが帰ってきた時、集会所にアイツは居なかった。
 アイツの事を気にかけているようなハンターもなかったが、それでも密猟者らしい輩と話しているのを見たという事を教えてくれる程度に親切なのが居た。
 オレはまず、奴の住んでいたという廃墟を虱潰しに探した。そこで、病気で死にかけているテュールを見つけた。そっちは医者に任せて、今度はリオス種の産卵場所を、採取クエストの体裁を取って巡った。
 そんな中で、焼け焦げたボロボロのハンターナイフを見つけたんだ。
 何が起こったのか、完全には確認出来なかったが、密猟者は見事、ヤツを使い捨てたんだろう。
 ……テュールはどうしたのかって?
 病気から回復した後、オレは調べたことを全部話した。
 予感はあったんだろう。アイツは泣きもわめきもしなかった。
 しかし、次の朝には黒かった毛皮が真っ白になって、ついでに言葉も話せなくなっていた。
 そんな状態のテュールを野良オトモにするわけにも行かなかったし、何よりもオレが養子として引き取ろうと思った男の忘れ形見みたいなものだ。テュールの了解を無理矢理に得て、オレはアイツをオトモとして登録した。
 病状が落ち着いてからすぐ、アイツは行動を始めた。
 まず、ヒュミルのハンターナイフの残欠を、自分の手に合うほどの大きさにまで研ぎ直した。今、アイツが持っている剣鉈がそれだ。そしてどこから手に入れたのか、リオレイアの体毛やらアオアシラの腱やらを編んで、鳥竜の唾液とバサルモスの体液、ガノトトスの胃液を使って強化した紐を取り付けた。
 初めて見た時、風変わりな武器を使っていると思っただろう? テュールはあの武器を自ら作り上げて、徹底的に練習し始めた。普段はくくった紐を柄に飾りみたいに付けただけの剣鉈として使っているが、アイツが練習したのは紐を解いて剣鉈を投擲して使うやり方だ。
 剣鉈を分銅にして、紐を操る。その練習を、アイツは一日たりとも欠かしたことがない。
 ……なんでわざわざそんな武器を使うのかって? テュール自身に確かめたことはオレもないが、大体わかっている。テュールが練習しているのは狩猟術というよりも捕縛術なんだ。
 ……そうだな。オレがここに来た理由は、嬢ちゃんが一番良く知っているだろう。
 もともと、村長がギルドに村付きハンターの派遣要請をして、その必要性を二年間にわたって嬢ちゃんが調べた。
 その結果として、ちょうどハンター養成所を卒業したばかりのオレの派遣が決まったんだからな。
 そう、オレが派遣された理由は、まず第一にモンスターなどの脅威からの村の防衛。そして村周辺の生態系の調査。さらに、暗躍する密猟者への牽制、だ。ハンターの居ない狩り場は、密猟者に荒らされるのが常だ。実際、ガルガリ大森林にも、嬢ちゃんが調べた範囲で密漁の跡があったんだろう?
 ……嬢ちゃんの考えている通り。
 今のアイツならば、そんじょそこらのハンターくらい紐でグルグル巻きにするのはそう難しいことじゃない。
 ちなみに、ヒュミルを使い捨てた密猟者の名前は判明している。
 フェンリルという元ハンターだ。何年も前から密漁を繰り返し、ハンターとしては除名されて、今ではギルドが賞金をかけて追いかけているお尋ね者だ。ヤツは一度現れた狩り場には二度とは来ない。そして、ガルガリ大森林にフェンリルが現れたという記録はない。
 ヤツがこの森に来るかどうかなんて分からない。いや、現れない可能性のほうがずっと高い。
 それでも、テュールは、その低い可能性にかけて、オレに付いてきたんだ。


トハイエ、テュールモイゼンニクラベレバダイブマルクナッタ。ウラミヲワスレロナンテイウツモリハナイガ、オレトシテハフツウノシアワセヲミツケテクレタホウガ、ヒュミルモヨロコブンジャナイカナトハオモウンダガナ……
 
 暗くなり始めた森の中に、光る6つの青い目がある。「彼女」は闇の中に潜み、ジッと二人の「会話」を聞いていた。
 
 以前食い散らかした紫の鳥竜種の群れも、よく声を使って意思疎通をしていた。
 この見たことのない二匹の獣は、かなり複雑なやり取りを声を使ってしているようだ。さすがに内容までは理解できない。
 それにしても、「私」と同じように何か布状のものを着込んでいるが、それを剥いてしまえば鱗も毛もない柔らかそうな身体をしている。
 美味そうだ。
 巣に誘い込むことも考えたが、やはりもっと暗くなってから奇襲しよう。
 まずは。
 群れから離れて見張りをしているあのネコを殺しておこう。
 「会話」をしている二匹と違って、あのネコは同じ種を森の中で見たことがある。小さすぎて食べ甲斐がなく、毛皮があってまずい。あれはいらない。
 
 「彼女」は音もなくその場を離れていった。
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category: モンハン小説

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コメント

怠惰なファンはここにも1人♪

タイトル通りのファンです(≧∀≦)

試験的駄文の方はガラケーはどうやって見たら良いのだろう(T-T)

今の仕事になってから自宅でPC使わなくなったから今PC無いんですよね(^^;)

今週末までには必ず試験的駄文の方も見にいきますがコメントはこちらの方にするかもしれませんがお許しくださいm(_ _)m

さてさて、小説の続きですがヘイムダル氏とテュールの関係性には驚かされました(≧∀≦)


あの経緯は予想外でしたし切なくもなりましたがフェンリル氏との因縁等今後への伏線にもなりそうな予感がして興味深く読ませていただきましたヾ(^▽^)ノ


そして最後の描写は新たなモンスターの登場ですね♪

自分の頭の中には浮かんだヤツはいますが当たるにしろハズレるにしろ楽しみに待っていますよ(^-^)/~~

けんゆう #028lExxE | URL | 2015/10/05 21:10 | edit

Re: 怠惰なファンはここにも1人♪

>>けんゆうさん

いやもう本当にありがとうございます。
ファン……かぁ……いい響だ……。

自分の方は、PCとスマホはあれどガラケーが無いので、どうなっているのかが分からない……です。あしからず。
一応、デザイン設定では携帯でのブログデザインもされてはいるのですが……。
まだブログに慣れていないのもあり、ちょっとどうなっているかが分からない。
すみません。

まぁ文字通りの駄文しか書いていないのですが……。

フェンリルには、氏とか付けなくてもいいですよ。基本的に小悪党です。

一応、考えている話の重要なテーマの一つが、テュールが傷を克服する話なので、本当はここまでにももうちょっと目立たせたかったとも思っていますが、なんせ落ち込んでしまっているテュール。なかなか難しい……。
むしろこの時点ではチョイ役に過ぎないハズのロキ(赤ネコ)の方が目立ってしまっている始末。

ちなみに、テュールの剣鉈に取り付けているロープに関して、唐突に「リオレイアの体毛やら~ガノトトスの胃液やら」と言い出しているのは。

北欧神話で、フェンリル狼を、軍神テュールがグレイブニル(ここに「不正な投稿」のポイントがあるといういくらなんでもちょっとな話……なので、本来は「プ」なのを「ブ」に変えます)という魔法の紐で繋ぐのですが。
このグレイブニルが「猫の足音、女の髭、岩の根、熊の腱、魚の息、鳥の唾液」から作られているという話を元にした……のです。しかしキャラクタの名前を北欧神話からとっているというのも特に必然性があるわけでもなし、唐突すぎてどうかなぁ……と、思ったりしています。

それにしても、読んでいただき本当にありがとうございます。
もうちょっと頑張って、話をちゃんと進めていこうと思いますので、これからもよろしくお願いします。

ロキ #- | URL | 2015/10/05 22:03 | edit

やっと読めました

こんにちは
第5話ようやく読めました
というのも本文中にあった「やる夫・・」の方を覗いてしまい、そのままそちらを読み進めてしまったため大きく脇道にそれることに
ああいう方式の物語もあるんですね、初めて知りました(; ・`д・´)

でも、結果的にゲーム中には出てこない時代背景(陰の部分)などが予備知識として入ったため第5話を読むうえで役に立ちました
モンハン本編作中にはこういった陰の部分は登場しておりませんが、いつの時代にも表舞台で活躍できず、またその為の努力を放棄してしまっている陰の部分というのはつきものですので、華やかな表舞台の裏にこういったいわゆるどん底の生活を強いられている者もいて然るべきなのかなと

そして新たな影・・・今後どんな展開か楽しみにお待ちしております
(しかし、よく観察してますね・・・目の数まで気にしたことありませんでした)

ウィクトル #mQop/nM. | URL | 2015/10/09 12:35 | edit

Re: やっと読めました

>>ウィクトルさん

読んで頂きありがとうございます。

また。
やる夫スレッドは、あれでかなりの広さを持っている同人活動だったりします。
もともとは「やる夫と学ぶ○○」という感じで、対話形式で様々なコトを解説するスレッドから始まったらしいのですが……。
今ではむしろストーリーになっている物のほうが主体のよう。
たまに、ガチでよく出来ているストーリー作品なんかがあります。

自分の場合は……見ていると時間を吸い取られるので、最近はあまりちゃんと追っていませんが……。
ソロハンターはまだ短い方で、ちょろっとだけ話を出した「モンハン自衛隊」などは物凄く出来がいいストーリー構成になっています。……読んでいるとものすごい時間を吸い取られていきますが……。

自分の「モンハン小説」は、完全にやる夫スレッドのモンハン系作品に影響を受けています。
ていうか、前段でも書いたし、ソロハンターを読んだらわかると思ういますが。

特にヒュミルとテュールに関しては、完全にパクったニャス。

どうでもいいですが。
「地獄までついてきてくれるかお、タオカカ」「やる夫のいるところが、タオの天国ニャス」のやり取りは、結構タマシイが震えてたりします。
4系のメインオトモは、こういうところがあまりなかったなぁ……。

ロキ #- | URL | 2015/10/09 13:38 | edit

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