モンハンブログ 週末の笛吹き

主にMH3GとMH4、MH4Gそしてモンスターハンタークロスのプレイ日記を書いていきたいと思います。現在は「ロキ」という名前でオンラインに出没中。モンハン以外の事を書くブログ「ロキの試験的駄文」も始めました。

モンハン小説未来編 第六話 前編「ウルズ、酒を飲む」(2/3) 

自分の書いているモンハン世界は、飲酒に関する社会的意識も、法律も、現代日本とはまったく違うものである、という事を明記しておきます。

さて。

今のところ、まだ本文は前編部分しか出来ていません。
フレイアが酔っ払ってウルズの耳をハムハムしてしまうような展開の話を、早く書きたいなぁ……。

前回、宣伝に利用した動画のプロトタイプがあったのを思い出しました。
MMDで挿絵が作れないかと工夫していた頃、おもむろに踊らせてみた作品。
この頃はまだ、カメラを動かすことすら自分には出来ないと思いこんでいました。


それにしても。
どっこい生きていたフェ氏。
やっぱり悪いやつは生命力が高いですね。





05.先客

 薄暗い店内には、先客が一人居た。

 私は習慣として入り口側のカウンター席に座ったが、その客は奥のカウンターでブツブツいいながら独りで呑んでいた。

 その顔には見覚えがある。というより、忘れられないインパクトがある。
 その男は自分がしばしば訪れていた頃からの常連で、あまりの異常性のため、恐らくその存在を忘却する事は死ぬまで無いだろう。

 彼の顔は焼け爛れ、耳はズタズタに裂かれ、鼻も刃物で削がれたように無くなっている。
 精神的にもおかしくなっているようで、常にブツブツと何かを呟いている。

 昔、話好きの別の常連が、こちらが聞いても居ないのに勝手に隣に座り、彼について話して来たことがある。

 あれは酒臭い息を吐く壮年の男性ハンターだった。
 とにかく、どこかへ行ってほしかったが、そいつは顔をこちらに近づけてペラペラペラペラと喋っていた。
 貴重なゼニーを支払って来たのに、おかげで最低な時間になった。
 
 酒臭いソイツは言っていた。
 顔の焼け爛れた彼は、その筋では有名な密猟者であり、卵泥棒だったそうだ。
 飛竜種の卵を盗んでは、卵密売組織に売りさばくような生活を、何年もしていたらしい。

 その時に名前も聞いたが忘れてしまった。確か、ファなんとか、あるいはフェなんとか、と、そんな感じだったと思う。
 まあ、どうでもいいことなので覚える気もなかったが。

 ともかく、彼は卵泥棒としてもかなりダーティなタイプで、食い詰めたハンターを言葉巧みに誘っては共犯にし、しかも囮としてためらいなく使い捨てていたという。

 底辺ハンターを地で行っている私としては、さすがに聞き逃せない話で、他人への警戒心をより強固なものにしてくれた。

 もっとも、フェ氏はさすがにやりすぎたのだろう。
 ある時ついにギルドナイトに捕まり、自身の犯行と、広域の卵密売組織の知っていることを洗いざらい吐かされたらしい。
 
 その際、薬物まで使った拷問が行われ、身体も心も壊れたのだそうだ。

 むしろよく死ななかったと、勝手に喋っていたその男は言っていた。
 変に同情的だったのは、そいつも卵泥棒だからだろう。まあ、フェ氏に比べて全然小者だったようだが。

 私としては、底辺ハンターを利用するような輩は、死んでしまったほうが良かったのではないかと思った。私の食事の時間を邪魔した酔っ払いも、ついでに一緒に。
 
 ちなみに、私が嫌がっているのに気づいた店主が酔っぱらいを一睨みし、そいつは怯えながら自分の席に戻った。
 それじゃなくても年上の男性に恐怖感を抱いている私は随分と助かったという記憶がある。

 ああ。
 男性に対する恐怖感なんて弱点を持つ羽目になったのは、全部、あのクソヤロウが悪い。



06.フェ氏

 それでも、そのフェだかファだか言うハンターは、最低限の運動能力までは奪われなかったらしい。

 この店の仕入れは、基本的に非公式なクエストとして、客に来るようなハンターに依頼される事が多い。
 それはモンスターの内蔵が主だが、特定の植物やキノコだったり。
 あるいは卵だったりする。

 ギルドを通していないので非合法スレスレなのだが、そういう界隈で開いている店なのだから仕方がない。
 依頼する相手は、ギルドからしてみれば木っ端もいいところの底辺ハンターばかりだし、取ってくるものも大した商品価値のない、本来ならば剥ぎ取り時に捨てられるようなモツだったり、管理から外されるような卵だったりなので、見逃されているだけの話だ。
 下手に取り締まる方がよほど面倒くさいだろう。

 そういう世界に潜んでいる人間というのも、私を含めて少なからず居て、それなりの社会を作り上げているのだが、基本的に「ちゃんとした世界」で動いているギルドや一般的社会の人々は、わざわざ闇に光を当てて、醜いものを見るのなんて嫌だという思いもあるに違いない。

 彼らから見た我々など、それこそ普通のハンターならば捨ててしまうような臓物みたいなものなのだろう。
 無視できるなら、無視するのだ。
 あえてほじくり出して切り捨てるのなんて、問題が起こった後でいい。 

 ちょっと話がそれた。

 ともかく、モツ屋の仕入れは、そのようなハンターたちによって担われている。
 モツ屋の仕入れクエストは、ギルド正規のクエストとは違い紹介料や手数料などが発生せず、中抜きもされない。
 そのため煩雑さがなく、当時の私にとってもいい小遣い稼ぎになった。

 モツは普通の肉に比べて痛みが早いため、氷結晶を一緒に持っていかなければいけないのがすこし面倒くさかった程度か。

 それでも、卵を持ってくるのは骨が折れるので、私はやらなかった。
 卵をよく持ってきていたのが先の酔っぱらい小者卵泥棒であり、また今もブツブツ言いながら何かを呑んでいるフェ氏だったのである。

 そのような経緯は知っていたので、フェ氏が元卵泥棒であると言う事には信憑性があった。
 流石にギルドナイト云々は眉唾だが。
 おそらくは飛竜の卵を盗み出すのに失敗し、リオレイアの火球でも直撃してあんな顔になったのだろう。

 昔、しばしばフェ氏の盗ってきた卵のご相伴に預かったが。
 それでも感謝の念はない。
 もしも私が、何か余裕が無い状況に陥った時に、そのような輩に声をかけられていたら。
 使い捨てられたのは自分だったかもしれない。
 
 底辺ハンターを使い捨てにするような輩の跋扈は、私にとっては文字通りの死活問題になり得る。
 
 死ねばいいのだ。そんな奴らは。



07.メニュー

 今日のメニューは思っていた通り豪華で、ブルファンゴのサイコロステーキと、イャンクックの砂肝の鉄板焼き。
 そして、アロワナ型回遊魚の卵とアラを煮込んだ鍋だった。

「いただきます」
 最初に箸を付けたブルファンゴのステーキは、普通の料理屋のビジエ素材としても使われるもので、野性味は強いが味が濃く、美味。よく噛んで、味わい、飲み込む。
 
 イャンクックの砂肝は一般的には出回っていないが、ここではしばしば目にする食材である。
 ただし、ここに来ているハンターで、イャンクックを狩れる腕を持つものは少ない。別のルートから手に入れているのか、それとも今日来ているフェ氏が狩ってきたのかはわからない。

 まだジュウジュウと音を立てているスキレットから、一片をつまみ上げて頬張る。

 熱い。

 味は特に臭いわけでもなく、癖が強いわけでもなく。
 ただ、とにかく歯応えが強い。
 一般的に食用とされていないのは、おそらく噛み切るのも大変な、このゴムのような食感のせいだろう。
 しかしそれは、私にとって馴染み深いものだった。

 顎に思い切り力を込め、ゆっくりと咀嚼する。

 次に、メインである土鍋のレンゲを手に取った。

 アロワナ型回遊魚のスープは、魚介系の出汁が使用されていて、動物の臓物とは別の臭みがある。

 それが大量の香味野菜と共に煮込まれ、焦がしたネギや油の香ばしい副菜を添えることにより、かろうじて食べられるように調味されている。

 味見として、少量を口に含む。
 かなり独特の風味があった。

 見た目的にも美味そうとは全く言えない。

 独り用土鍋に注がれた茶色く濁ったスープ。小骨の混じったアラ。

 主役たるべき魚卵は、血管の透けている膜に覆われていてグロテスクだ。
 せめて鮮紅色だったりしたらまだ食欲をそそりそうなのだが、残念なことにそれは黄色とも茶色ともつかない斑模様だった。

 魚卵に箸を入れる。

 すると、小さな小さな幾千幾万の卵たちが、スープの中にパッと流れ散っていった。
 レンゲでそのスープを一口、すする。
 
 見た目通りに油っこく、臭みがあり。
 そして。
 旨味が強かった。
 
 魚介の出汁と、調味料と、野菜と、油の味。

 綺麗なものでは無い。
 澄んだものでは無い。


 だけど。
 骨に、肉に、皮に、油に。
 内蔵に。そして卵に。
 宿っていた生命力が全部スープに溶け出したような。

 そんな味だった。

 汗をかきながら、熱いスープをゆっくりと味わい。
 合間、合間に肉を食べ、砂肝を噛み潰す。

 初めてここに来た頃のことを思い出す。
 後ろ指を差され、生きるためと割り切って、携帯食料を独り占めしていた頃を。

 あの頃に比べると、私は随分と安定した。経済的にも。きっと精神的にも。

 それがどれだけ幸せなことなのか。

 この癖の強い料理と一緒に、それを噛みしめるためにも。
 たまにはここに来るべきなのかもしれない。



08.店主のすすめ

 などと考えながら、私は黙々と食べていた。

 私は基本的に感情を外に出さないようにしている。
 ネガティブな面が多すぎるという自覚があるし、それを外に出したところで、更に生きにくくなるだけというのが解っているからだ。
 
 ただし、内面では感情には素直に従い、受け入れることにしている。
 嫌悪や嫉妬、憎悪は私にとって慣れ親しんだ感情であり、私の精神力を支える原動力ですらある。

 そして。
 美味しい、という感情もまた、私にとっては大切なものだと思っている。

 黙々と。
 私は美味しさと、正面から向き合っていた。

「いくつになった?」

 突然、店主に声をかけられた。
 店主は、普段あまり客に干渉しない。
 なのでこれはかなり珍しいことで、基本的に感情を表情として表さない私が、この時は驚きを隠しきれずに顔を上げた。

 落ち窪んだ虚ろと、ギラギラ光る片目で、彼は私を見ていた。
 怒っているわけでもないし、笑っているわけでもない。
 が、普通の私くらいの年代の女性ならば、恐怖のあまり失神してもおかしくないような顔ではあった。

「……? ええと? 16か、17くらいだと思います……けど?」
「その割にはちっこいな」
 ……悪かったな。
「まあ、それくらいの年齢ならばなんの問題もない。いや、ハンターならばむしろ今から慣れておけ。必要になることもある」
 そう言うと店主は屈んで、カウンターの下に置いてある一本の酒瓶を取り出した。
「安い泥芋酒だが、これの雑味の強さは、むしろ俺の料理と合う。今日は奢りにしておいてやる」
 こちらの言い分を全く聞かず、背後の棚から二つの酒器を持ってくる。

 一つは背の高い小瓶で、もう一つは一口サイズの杯だった。

 小瓶は、大きく育ちすぎて薬効の無くなったケルビの角を刳り貫いて作られていた。
 かなり年季の入ったもののようだった。
 杯は鉱石製だ。キラキラしていて綺麗だった。

 店主は角の酒器に酒を注いで、差し出した。

 私は、その小瓶の酒を、小さな杯に注ぎ、こわごわと口を付けた。



09.酒

 正直、酒にはあまりいい思いを持っていない。
 飲んだことはないが、飲んだ人は何人も見てきたからだ。

 そもそも、ここで問題を起こすような客は、いつぞやの小者卵泥棒もそうだったが、だいたいが酔っ払いだった。

 なによりも。

 自分を伯母から買ったあのクソヤロウだ。
 アイツは常にクソだったが、酒を飲んだ時には余計にテがツケらレなク……

 ……
 …………

 一瞬だけ、視界が暗転した気がした。

 杯に口を付けたままの私を、店主が少し不思議そうな顔をして見ていた。
 私には「不思議そう」にしているのがわかる。
 しかし、普通の人ならば「殺意を込めた眼で睨まれている」と思うような顔だった。

 何を考えていたんだったか。

 私は、酒を舌に含むように味わいながら、思い出した。

 ああ、そうだ。
 とにかく、酒くさい小者卵泥棒に絡まれたりした経験のお陰で、あまり酒にいい感情を持っていないのだ。
 ここではマスターが眼を光らせているので安心だが、しかし、昔寄生した先のパーティでも酔っ払ってベロベロになった人をしばしば見た。
 自分は、決してああはなりたくないと思った。

 ただ、それでも美味しそうに、楽しそうに飲んでいる人も多かったし、味への興味はある。

 更に、店主に「料理に合う」と言われると、やはりそれは期待してしまう。

 意地汚い? 子供の頃からろくな物を食べさせてもらえなかったのだ。
 美味しいものへの執着と憧れが強くなっても、別にいいじゃないか。

「?? 誰と話している?」
「……いいえ、独り言ですよ」

 とりあえず、生まれて初めて口にした最初の一杯を、私は飲み干した。

 正直に言うと。
 これが旨いのか、不味いのか。
 
 よく判断がつかなかった。



10.ウルズ、酒を飲む

 初めて味わう感覚だった。
 舌や、喉に刺激があるのはわかる。

 独特の風味もある。

 ただ、期待していたような旨さではなかった。

 安酒というのもあるのかもしれない。
 高価なものだと、飲んだことのない自分でもわかるくらい美味しいと感じられるのかもしれない。

 そういう意味で、私にとってはちょっと期待はずれではあった。

 ただ、店主の言う「俺の料理に合う」という意味は分かった。

 飲み終わりの後味に、苦味のような感覚が残る。これが雑味というものなのだろう。

 一言で言って泥臭い風味なのだが、それが鍋のクセに負けないのだ。
 互いを引き立て合うとか、お互いの悪いところを消し合うとか、そういう合い方ではない。
 どちらも個性を主張しあって、一歩も引かず、殴り合った後に血塗れの手で握手をするような。

 そんな感じを覚えた。

 鍋を食べ、酒を飲む。

 交互に味わっていると、再び店主が話しかけてきた。

「どうだ? それにしても、酒は初めてだったのか?」
「はい、あまり酔っ払いにいい記憶がなかったので、飲む気になれなかったんです」
「そうか」
「でも、これは勧めてもらって良かったです。なんというか、風味と風味が口の中で喧嘩をして、その上で馴染んでいるような感じです」

 私の感想を聞き、店主はニヤリと笑った。
 背筋が凍りつくような禍々しい笑顔だった。

「意外と、味ってものがわかっているじゃないか」
スポンサーサイト

category: モンハン小説

TB: 0    CM: 2   

コメント

お久しぶりです。
いやー小説の続き待っておりました!
良いですねお酒!
耳ハムハムな話も早く読みたいです!w
そして生きてたんですねあの人・・・

追伸
深夜のこの時間に読んでしまってお酒が飲みたくなりました。
てか飲みますw

朔 #- | URL | 2017/04/02 03:36 | edit

Re: タイトルなし

>>朔さん

ご無沙汰しています。
やっぱりお酒は良いです。
酒と食事は、ゲーム的な意味以外に、モンハンの世界観の構築に欠かせない要素ですよね。

が、リアルの自分は流石に体型とお金が気になってきた……。
3月末にお高いお酒を飲んだので、それを機にちょっと控えようかな、などと思っています。
そう。
週二回くらいに控えようかと!

ちなみに。
なんでこの時期に小説を更新した理由の一つとして。

MHXX効果で見る人が増えている間に、フレイアがウルズの耳をハムハムするような話を書いたら注目されるんじゃないだろうか! などという邪心もあります。
が。
何故かそこに至る前にウルズが闇を吐き出す展開に……。

ロキ #- | URL | 2017/04/02 12:29 | edit

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://mhblog563.blog.fc2.com/tb.php/935-58543f08
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

カウンター

プロフィール

リンク

インデックス

MHロキのツイッター

人気ブログランキング

検索フォーム

最新記事

最新コメント

RSSリンク

アクセスランキング

月別アーカイブ

カテゴリ

ブロとも申請フォーム

QRコード